【観光統計】宿泊データが示す構造転換。中国依存からアジア・地方分散へ

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桜の名所と地方の街並み(イメージ)
Photo: Pavlo Klein / Unsplash
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4月の延べ宿泊者数、日本人は2.4%減、外国人は9.0%減

観光庁は2026年5月29日、宿泊旅行統計調査の最新値を公表しました。直近となる2026年4月(第1次速報)の延べ宿泊者数は5,063万人泊で、前年同月比4.6%減。外国人も9.0%減と落ち込みが拡大しました。一方、内訳が分かる3月のデータでは、台湾や地方部が需要を下支えする動きもみられます。

4月の内訳をみると、日本人が3,490万人泊(2.4%減)、外国人が1,573万人泊(9.0%減)でした。ひとつ前の3月(第2次速報)は全体5,441万人泊(2.0%減)、外国人1,428万人泊(3.6%減)で、外国人が全体に占める割合は26.2%です。

延べ宿泊者数 前年同月比の推移グラフ

客室稼働率は4月が全体59.7%、3月が59.4%と、いずれも前年同月を1.9ポイント下回りました。都道府県別では東京都が73.6%(3月)で最も高くなっています。ただし4月は有効回収率24.2%の速報値であり、暫定の数字として読む必要があります。(※2026年1月分の調査から集計基準(層化基準)が変更されており、前年比にはその影響が含まれる可能性があると観光庁は注記しています。)

3月は中国大幅減も、台湾・韓国・香港は堅調、インドネシアやマレーシアが急増

外国人宿泊の重しになっているのが中国です。3月の国籍別では、中国は前年同月比52.6%減と大きく落ち込みました。背景には、2025年11月に中国政府が自国民へ日本への渡航自粛を呼びかけたことがあります。以降、訪日中国人の減少が続いています。なお、国籍別の数値は客室数20室以上の施設を対象とした集計で、外国人全体とは母数が異なります。

この逆風は、速報値の改定にも表れました。3月の外国人延べ宿泊者数は、4月末に出た第1次速報では前年比プラス1.8%でしたが、確度の上がった第2次速報でマイナス3.6%へ下方修正されました。プラス成長から一転してマイナスへ転じたのです。回収率の低い4月の数字も、同じ方向に振れる余地があります。

一方で、中国減の一部を補う動きも出ています。3月の国籍別の首位は台湾で、前年比27.2%増。韓国(8.6%増)や香港(2.1%増)も伸び、東南アジアではインドネシアが52.5%増、マレーシアが36.5%増と急伸しました。

国籍別 外国人延べ宿泊者数の前年同月比グラフ

一過性のブームではありません。インドネシアとマレーシアは2025年の年間でもそれぞれ23.8%増、25.6%増と過去最高を記録しています。中国の落ち込みが大きい一方で、台湾や東南アジアなど複数市場の重要性が高まっています。

地域の構図も同じ方向を向いています。3月の外国人宿泊は、三大都市圏(埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・京都・大阪・兵庫の8都府県)が6.8%減だったのに対し、地方部(残る39道県)は3.2%増でした。大都市が落ち込むなかで、地方が需要を取り込んでいる構図です。

観光ビジネスの視点

全体・外国人とも前年実績は下回りました。ただ、今回の統計が示すのは訪日需要の「分散」という構造変化です。中国の急減は痛手ですが、見方を変えれば、特定の国に頼りすぎるリスクが表面化したともいえます。台湾・東南アジア・地方部の伸びは、その分散がすでに始まっていることを示しています。

事業者にとっての論点は二つあります。ひとつは、東南アジアなど伸びる市場に合わせた受け入れ体制(食事のハラル対応や多言語化など)をどう整えるか。もうひとつは、地方部で相対的に堅調な外国人需要をどう取り込むかです。大都市の混雑を避ける旅行者の動きは、地方にとって追い風になります。

<出典>

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