旅行者の69%がAI要約で旅を検討、ホテルは「客室の売り方」再設計へ

明るいホテル客室のイメージ
Photo: Point3D Commercial Imaging Ltd. / Unsplash
  • URLをコピーしました!
目次

6か国6,000人に聞いた旅の本音

旅行大手システムのアマデウスが、年次レポート「Travel Dreams 2026:From data to delight(データから感動へ)」を公開した。

世界の旅行者6,000人とホテル経営幹部500人への調査から、旅行が「心をリセットする手段」へと変わり、AIとサステナビリティがホテルの選ばれ方を左右し始めた実態が見えてくる。

アマデウスは調査会社オピニアム・リサーチ(Opinium Research)に委託し、2025年第4四半期に調査を実施した。対象は、海外旅行の主要送り出し国である豪州・中国・ドイツ・インド・英国・米国の旅行者6,000人と、訪問者の多い市場のホテル経営幹部(ジェネラルマネージャー以上)500人だ。

幹部の内訳は米国100人、豪州・フランス・インド・メキシコ・南アフリカ・タイ・UAE・英国が各50人で、観光地域づくり法人(DMO)への取材も加えている。なお調査対象6か国に日本は含まれていない。

「AI要約で十分」が7割

旅行者の価値観は、観光名所めぐりから心の回復へと移っている。旅行から戻ったときに得たい状態として最も多かったのは「心の落ち着き(a sense of calm)」で41%だった。「より深い自分(deeper sense of self)」は18%だが、中国では39%に跳ね上がる。「満たされた感覚(indulged)」は中国が38%、インドが4%と、市場によって大きな差が出ている。

この変化は支出にも表れる。旅行者の74%が「自分向けにあつらえられた体験(パーソナライゼーション)は重要」と答え、時間や快適さ、自分で選べる感覚にお金を払う姿勢を見せた。旅程を探す入口も変わり、AIの要約だけで追加調査をしなくても十分な情報が得られると考える回答は69%(インド87%、中国86%)に達している。

ホテルの投資先は予測と最適化

ホテル側の動きも明確だ。調査した500人の幹部のうち2026年にAI投資を予定しないのはわずか1人で、1施設あたりの平均投資額は約31万9,000ドル(北米40万ドル、欧州36万3,000ドル)だった。用途は需要予測や料金最適化、チャットボットなどだ。

収益面では、客室の「属性」を個別に売る発想が注目されている。アーリーチェックインや眺望の指定、空気質を高めた客室など人気6属性をうまく売れば、150室・稼働率70%の中規模ホテルで年間100万ドル超の付帯収益が見込めるという試算だ。

一方で、自動化を望む声が過半数を超えたのは客室内の温度や照明の操作だけで、チェックインやコンシェルジュは依然として人による対応が支持された。レビューを宿選びで重視する旅行者は88%にのぼり、接客が悪ければ悪いレビューを残すという回答も77%(出張者は83%)だった。

環境への配慮は「あれば良いもの」から前提条件に変わりつつある。旅行者の75%が「宿のサステナビリティ実績は宿選びに影響する」と答え、重視層は1泊あたり平均11.7%多く払う意向を示した。250ドルの部屋なら約29.25ドルの上乗せにあたる。ホテル側も全社が投資を計画し、平均で総支出の6.7%を充てる構えで、35%が「競合との差別化要因」と位置づけている。さらに今後5年で業界を最も変える力としては、AIと自動化が22%で首位に挙がった。

観光ビジネスの視点

この調査に日本は含まれていないが、結果は訪日インバウンドにも当てはめることができる。

訪日客の主力である中国とインドは、酸素濃度を高めた客室に9割超が追加料金を払うと答え、サステナビリティ重視も中国85%・インド93%と世界平均を上回った。

「整う体験」や環境配慮を、客室の付加価値や体験造成にどう織り込むかは、日本の宿やDMOの収益設計に直結する。加えて、ホテル大手IHGがChatGPT内に検索アプリを投入するなどAIの要約で旅程を探す旅行者が増えるなか、生成エンジン最適化(GEO)と検索エンジン最適化(SEO)への対応は、海外客に「見つけてもらう」うえでの重要性が高まる。

あわせて読む IHGのChatGPTアプリ投入の詳細は、こちらで詳しく解説している。

スマートフォンでChatGPTアプリを操作する手元 IHG、ChatGPT内にホテル検索アプリ 「発見はAI、予約は直販」の新導線

出典

NEWS LETTER編集部が選ぶ注目記事をお届け限定イベントや独自レポートも先行案内ニュースレター登録
  • URLをコピーしました!
目次