国内旅行が7.9%減、海外と訪日は前年超え
観光庁は2026年8月28日、主要旅行業者43社・グループの6月の旅行取扱状況速報を公表した。6月の総取扱額は約3,139億円で、前年同月比98.1%と2カ月連続の前年割れになった。海外旅行と外国人旅行(訪日)はともに前年を上回ったが、国内旅行が92.1%と落ち込み、全体を押し下げた。
なお、ここでいう「外国人旅行」は、日本の旅行会社が取り扱ったインバウンド旅行を指す。訪日外客数やインバウンド消費額など、市場全体を示す数字ではない。
先月とは構図が入れ替わった。5月分の速報では海外旅行だけが前年を上回り、総取扱額は99.9%とほぼ横ばいだった。6月は逆に国内旅行だけが前年を割り、減少幅も広がっている。
あわせて読む 主要旅行業者の5月取扱額の詳細は、こちらで詳しく解説している。
主要旅行業者の5月取扱額は3267億円でほぼ横ばい 海外旅行のみ前年超え
区分別では、海外旅行が約1,221億円(7.6%増)、外国人旅行(訪日)が約167億円(2.5%増)と伸びた。一方で国内旅行は約1,751億円(7.9%減)と、前年から約150億円減っている。海外の約86億円増と訪日の約4億円増では埋まらず、総取扱額は約60億円のマイナスになった。
2026年6月 主要旅行業者の取扱額(速報)
| 区分 | 6月取扱額 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 海外旅行 | 約1,221億円 | 107.6% |
| 外国人旅行(訪日) | 約167億円 | 102.5% |
| 国内旅行 | 約1,751億円 | 92.1% |
| 合計 | 約3,139億円 | 98.1% |
企業別(上位5社はいずれもグループ各社の合算値)では、JTBが約1,023億円(0.7%増)で最も多かった。以下、阪急交通社が約322億円(2.1%減)、KNT-CTホールディングスが約308億円(2.7%減)、エイチ・アイ・エスが約289億円(0.2%減)、日本旅行が約288億円(0.4%増)と続く。5月に5位・16.6%減だった阪急交通社は、6月は2位まで戻した。
国内旅行150億円減の4分の3は4社
各社別内訳から国内旅行の減少額を並べると、東武トップツアーズが約42億円減(32.8%減)で最も大きい。JTBが約38億円減(5.6%減)、ジャルパックが約21億円減(27.4%減)、ジェイアール東海ツアーズが約14億円減(23.5%減)と続く。この4社だけで約115億円と、国内の減少額のおよそ4分の3を占めた。
このうち、減少率が二桁に達した東武トップツアーズ、ジャルパック、ジェイアール東海ツアーズの3社を除くと、国内旅行は4.5%減、総取扱額は0.2%増と前年並みに戻る(編集部試算)。43社が一様に落ち込んだわけではない。
前年同月の環境も見ておきたい。2025年6月は大阪・関西万博の会期中で、同月29日に累計来場者が1,000万人を超えている。ただし、同じく会期中だった前年5月と比べても、2026年5月の国内旅行は98.8%とほぼ前年並みだった。
6月の落ち込みを万博の反動だけで説明することはできない。観光庁の資料に方面別や各社ごとの商品内訳はなく、各社の減少要因をこの統計からたどることはできない。
国内の募集型企画旅行(旅行会社が企画して参加者を募る旅行)は、取扱額が前年同月比90.6%だった一方、取扱人数は同80.3%まで減った。人数の減少幅は5月の11.6%減から19.7%減へ広がっている。取扱額を人数で割った1人当たり平均取扱額は、単純計算で約4万500円から約4万5,700円へおよそ13%増えた。
訪日は客数が減っても取扱額は増えた
全国の訪日動向も見ておきたい。日本政府観光局(JNTO)の訪日外客数(2026年6月推計値)によると、6月の訪日外客数は約315万人で、前年同月比6.8%減だった。4月・5月に続く3カ月連続の前年割れである。
最大の押し下げ要因は中国で、約34万人(57.3%減)と半分以下に落ちた。一方で韓国、台湾、米国、インドなど15市場は6月として過去最高を記録した。中国を除いて計算すると訪日外客数は8.8%増えており、中国の減少幅が他の市場の増加を上回った結果、全体では前年割れになっている(編集部試算)。
それでも、旅行業者の外国人旅行取扱額は2.5%増と前年を上回った。5月は訪日外客数(3.6%減)と取扱額(1.8%減)がともに前年割れで方向が一致していたが、6月は分かれている。インバウンドの動きは、訪日外客数と旅行会社の取扱額のどちらを見るかで違って映る。
6月は、総取扱額の約56%を占める国内旅行が全体の方向を決めた。海外が7.6%伸びても、国内の7.9%減で総額は前年割れになっている。しかも減少は一部の会社に集中している。国内が二桁減となった東武トップツアーズ、ジャルパック、ジェイアール東海ツアーズを除くと、総取扱額は前年並みに戻る。
43社の合計という見え方に対して、6月に実際に数字を動かしていたのは少数の会社だった。この統計の単月の増減を旅行市場全体の基調と読み替えず、各社別内訳まで下りて確かめたい。
出典
- 観光庁「主要旅行業者の旅行取扱状況速報(2026年(令和8年)6月分)」
- 観光庁「主要旅行業者の旅行取扱状況速報(2026年(令和8年)5月分)」
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年6月推計値)」
- 2025年日本国際博覧会協会「データから振り返る大阪・関西万博」


