7月の宿泊3.5%減、日本人3.1%減・外国人4.6%減

障子を開けた旅館の和室。庭の緑が見える窓から夏の日差しが差し込み、畳に格子状の影が伸びている
Photo: Viviana Nysaether / Unsplash
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7月の延べ宿泊者数は3.5%減

観光庁は2026年8月31日、宿泊旅行統計調査の最新値を公表した。2026年7月(第1次速報)の延べ宿泊者数は5,467万人泊で、前年同月比3.5%減。うち日本人が4,110万人泊(3.1%減)、外国人が1,358万人泊(4.6%減)だった。

外国人の下げ幅は6月の14.0%減から大きく縮まった。今年に入って外国人が前年を下回った月のなかでは、3月の3.9%減に次いで小さい(3月は第2次速報値、7月は第1次速報値)。客室稼働率は全体で60.8%となり、前年同月を0.4ポイント下回った。

7月は外国人の下げ幅が縮んだ
延べ宿泊者数 前年同月比の推移(2025年1月〜2026年7月)
延べ宿泊者数 前年同月比の推移 2025年1月から2026年7月までの延べ宿泊者数の前年同月比。外国人は2025年前半の二桁増から低下し、2026年1月にマイナス15.8%、6月にマイナス14.0%まで落ちたあと、7月はマイナス4.6%へ下げ幅が縮んだ。日本人はおおむねマイナス数%で推移し、7月はマイナス3.1%。全体は6月マイナス8.4%、7月マイナス3.5%。 外国人 全体 日本人 +40% +30 +20 +10 0 -10 -20 25.1 25.4 25.7 25.10 26.1 26.4 26.7 2026年1月に 集計基準を変更 7月 -4.6%
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」各月をもとに編集部作成。2026年1月〜6月は第2次速報値、7月は第1次速報値。前年同月比は確定値との比較。
この図表のデータを見る
年月全体日本人外国人
2025年1月6.9%-2.6%36.0%
2025年2月-1.6%-7.4%16.8%
2025年3月0.1%-4.3%14.8%
2025年4月1.6%-5.4%19.9%
2025年5月3.1%-1.6%17.3%
2025年6月-1.2%-3.8%5.9%
2025年7月-1.0%-0.5%-2.4%
2025年8月1.4%0.4%5.6%
2025年9月-1.5%-3.0%3.4%
2025年10月0.3%-1.9%6.1%
2025年11月-1.9%-1.9%-1.8%
2025年12月-1.7%-2.3%0.0%
2026年1月-6.5%-2.3%-15.8%
2026年2月-0.7%-1.6%1.8%
2026年3月-2.2%-1.5%-3.9%
2026年4月-7.2%-5.5%-10.8%
2026年5月-3.2%-0.9%-9.0%
2026年6月-8.4%-6.3%-14.0%
2026年7月-3.5%-3.1%-4.6%

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」各月。いずれも延べ宿泊者数の前年同月比。2026年1月〜6月は第2次速報値、7月は第1次速報値。

減った分を日本人と外国人に分けると、7月の減少約198万人泊のうち日本人が約67%、外国人が約33%だった。6月は日本人が約53%、外国人が約47%である(いずれも編集部が観光庁の公表値から算出。2026年6月は第2次速報値、7月は第1次速報値。比率は四捨五入。万人泊の値は端数処理のため、内訳の合計が全体と一致しない場合がある)。

なお2026年1月分の調査から、標本を分ける基準(層化基準)が従業者数から客室数へ変更されている。観光庁は前年同月比・前年同月差に見直しの影響が含まれる可能性があると注記している。

あわせて読む 宿泊旅行統計調査そのものの位置づけや、ほかの観光統計との使い分けは、こちらで整理している。

分析ダッシュボードのグラフを表示したノートPC。観光統計・データ活用のイメージ 観光統計とは 主要統計の種類・読み方のポイント

訪日客は7月として過去最高だった

同じ7月について、日本政府観光局(JNTO)が推計した訪日外客数は344万2,100人で、前年同月比0.1%増。7月として過去最高だった。

韓国やインドネシアなど17市場が7月として過去最高で、台湾は単月として過去最高の76万3,800人(26.4%増)となり、初めて70万人を超えた。

訪日外客数は7月として過去最高なのに、外国人の延べ宿泊者数は4.6%減っている

ただし2つは別の統計である。訪日外客数は法務省の出入国管理統計をもとにJNTOが算出した訪日外客の「人数」で、宿泊旅行統計はホテル・旅館・簡易宿所・会社や団体の宿泊所などが答えた「泊数」だ。

さらに7月分は第1次速報で、有効回収率は32.9%である。9月30日公表予定の第2次速報で改定される。

このズレは今年に始まったことではない。2025年7月も訪日外客数は4.4%増で7月として過去最高だったが、外国人の延べ宿泊者数は2.4%減だった。7月の前年割れは2年連続である。

あわせて読む 7月の訪日外客数の中身は、中国の減少分を中国以外の増加分が埋めた均衡だった。別記事で詳しく扱っている。

大勢の旅行者が行き交う日本の空港ターミナルの出発ロビー 訪日7月344万人、7月として過去最高も前年比は0.1%増

6月は8.4%減へ下方修正された

同時に公表された2026年6月(第2次速報)は、延べ宿泊者数4,582万人泊で8.4%減。日本人3,360万人泊(6.3%減)、外国人1,222万人泊(14.0%減)だった。

この6月の数字は、7月31日に出た第1次速報から下方修正されている。1次速報の時点では全体6.5%減・外国人11.9%減だった。有効回収率は36.1%から44.6%へ上がった。

速報値は下にだけ動くわけではない。同じ6月のなかでも向きが分かれている。延べ宿泊者数が下方修正された一方、客室稼働率は56.2%から57.2%へ上方修正されている

施設タイプ別では、第1次速報で0.2ポイント低下としていたリゾートホテルが、第2次速報では0.2ポイント上昇に変わった。5月と6月の両方で前年を上回ったのは旅館だけだ、と前号で書いた部分は、この改定で当てはまらなくなっている。

あわせて読む 6月の第1次速報の内容は、前回の記事で詳しく扱っている。

ホテル客室の窓辺。デスクランプの奥の大きな窓から市街地の高層ビル群が見える 6月の宿泊6.5%減、日本人4.4%減・外国人11.9%減

6月は秋田3割増、大阪2割超減

都道府県別の内訳が出るのは6月分までである。7月の第1次速報にあるのは全国の数値で、国籍別も実数だけで前年同月比はつかない。

その6月をみると、伸びが最も大きかったのは秋田県の34.4%増だった。高知県30.5%増、茨城県28.3%増、富山県24.4%増、山口県22.8%増が続く。

下げが最も大きかったのは大阪府の23.8%減である。佐賀県19.5%減、三重県19.2%減、大分県と沖縄県がそろって16.0%減と続く。6位の東京都は15.9%減だった。

大阪府は日本人だけでみると28.2%減で、外国人の18.0%減より落ち込みが大きい。前年同月にあたる2025年6月は、大阪・関西万博(2025年4月13日〜10月13日)の会期中だった。

大阪2割超減の一方、3割増の県も
2026年6月 都道府県別 延べ宿泊者数の前年同月比(上位5県・下位5府県)
2026年6月 都道府県別 延べ宿泊者数の前年同月比 伸びが大きい上位5県は秋田34.4%増、高知30.5%増、茨城28.3%増、富山24.4%増、山口22.8%増。減少が大きい下位5府県は大阪23.8%減、佐賀19.5%減、三重19.2%減、大分16.0%減、沖縄16.0%減。 前年同月比(%) 秋田県 +34.4 高知県 +30.5 茨城県 +28.3 富山県 +24.4 山口県 +22.8 大分県 -16.0 沖縄県 -16.0 三重県 -19.2 佐賀県 -19.5 大阪府 -23.8
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年6月・第2次速報)」をもとに編集部作成。日本人・外国人を合わせた全体の数値。前年同月比は確定値との比較。
この図表のデータを見る
都道府県延べ宿泊者数前年同月比
秋田県339,100人泊+34.4%
高知県240,690人泊+30.5%
茨城県681,200人泊+28.3%
富山県347,870人泊+24.4%
山口県323,880人泊+22.8%
大分県465,550人泊-16.0%
沖縄県2,215,460人泊-16.0%
三重県529,510人泊-19.2%
佐賀県141,780人泊-19.5%
大阪府3,636,000人泊-23.8%

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年6月・第2次速報)」。日本人・外国人を合わせた全体の数値。

外国人に限ってみると、三大都市圏が16.8%減、地方部が7.4%減で、どちらも前年を下回っている。地方部が伸びたわけではなく、減り方が都市部より小さかった、というのが正確なところだ。

国籍別(客室数20室以上の施設が対象)では、首位が台湾の185.8万人泊(14.7%増)だった。米国182.8万人泊(0.5%増)、韓国131.3万人泊(8.1%減)が続き、中国は130.8万人泊で50.9%減の4位。5位の香港49.4万人泊(20.7%増)までで全体の62.6%を占める。

伸びが大きかったのはロシア44.9%増、インド34.6%増、ベトナム30.0%増だった。この国籍別の合計は1,086万人泊で、全施設ベースの外国人1,222万人泊とは対象施設が異なる。

別の統計になるが、JNTOが推計した7月の中国からの訪日外客数も56.1%減だった。ただし対象月も指標も異なる。

7月は旅館とリゾートの稼働率が上向いた

施設タイプ別の客室稼働率をみると、7月は旅館が40.6%で3.4ポイント上昇、リゾートホテルが59.6%で2.7ポイント上昇した。観光庁も資料に「旅館、リゾートホテルの客室稼働率が対前年同月比で改善した」と記している。

シティホテルも71.9%で0.3ポイント上昇した。前年同月差が公表されている5タイプのうち、前年割れが続いたのはビジネスホテルと簡易宿所である。ビジネスホテルは74.2%で0.5ポイント低下、簡易宿所は30.9%で1.9ポイント低下した。

旅館とリゾートの改善幅が大きい
宿泊施設タイプ別 客室稼働率と前年同月差(2026年6月・7月)
施設タイプ2026年6月
(第2次速報)
2026年7月
(第1次速報)
旅館36.7%
+1.7pt
40.6%
+3.4pt
リゾートホテル50.8%
+0.2pt
59.6%
+2.7pt
ビジネスホテル71.5%
-1.3pt
74.2%
-0.5pt
シティホテル69.2%
-3.3pt
71.9%
+0.3pt
簡易宿所26.1%
-2.1pt
30.9%
-1.9pt
全体57.2%
-1.6pt
60.8%
-0.4pt
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年7月・第1次速報、2026年6月・第2次速報)」をもとに編集部作成。下段は前年同月差(pt=ポイント)。
観光ビジネスの視点

訪日客が7月として過去最高でも、外国人の宿泊は4.6%減った。訪日外客数と、施設に泊まった泊数は別の指標である

しかもこのズレは2025年7月から2年続いている。全国でみて、訪日外客数と外国人の泊数が逆を向いた7月が2年並んだことになる。

7月の減少の約3分の2が日本人だった点も見落とせない。訪日外客数の伸びを宿泊需要の伸びと読み替えず、自社の宿泊者数を日本人と外国人に分け、人数と泊数の両方で追う必要がある。

出典

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