客数は減っても総額は微増
2026年4〜6月期の訪日外国人旅行消費額は、前年同期比0.2%増の2兆5,096億円だった。観光庁が7月15日に公表した1次速報によると、訪日外国人数は全体で5.3%減の1,040.1万人となった。
内訳を見ると、クルーズ客は67.1%減の14.7万人と大きく減少した。クルーズ客を除く一般客も2.7%減ったが、1,025.4万人と全体の大半を占めた。一般客の1人当たり旅行支出は3.3%増の24万4,457円となり、一般客の消費額は0.5%増の2兆5,066億円だった。一般客では、旅行者数の減少を1人当たり支出の増加が補い、消費額が前年同期を上回った。
国・地域別の消費額で最も多かったのは米国の3,848億円(構成比15.3%)で、台湾の3,639億円(14.5%)を上回った。前四半期の1〜3月期は台湾が首位で米国は4位だったが、今期は米国が首位に浮上し、台湾は2位に後退した。以下、中国2,592億円、韓国2,589億円、香港1,452億円と続く。
あわせて読む 前四半期(1〜3月期)の動きは、こちらで詳しく解説している。
訪日消費1〜3月2.3兆円 中国半減で台湾が首位に
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| 国・地域 | 旅行消費額(億円) | 構成比 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 米国 | 3,848 | 15.3% | +8.5% |
| 台湾 | 3,639 | 14.5% | +27.9% |
| 中国 | 2,592 | 10.3% | −48.8% |
| 韓国 | 2,589 | 10.3% | +12.2% |
| 香港 | 1,452 | 5.8% | ― |
上位5市場。前年同期比は判明分のみ。出典:観光庁 2026年4-6月期(1次速報)。
中国の急減を、複数の市場が補った
首位交代とは別に、市場全体の構図を大きく動かしているのが中国市場の落ち込みだ。中国の消費額は2,592億円で、前年同期比48.8%減だった。1〜3月期も50.4%減で、2四半期連続の大幅減となる。
背景には、2025年11月以降、中国政府が日本への渡航を避けるよう繰り返し注意喚起していることがある。ただし観光庁の速報は減少要因の内訳までは示していない。訪日中国人の消費は、今のところ戻りが鈍い。
その穴を埋めたのは、他の市場の消費額の伸びだ。台湾の消費額が27.9%増、韓国が12.2%増、米国が8.5%増と、主要市場の多くが前年を上回った。中国の大幅な減少を複数の市場の増加が補い、総額は前年並みを維持した。
今期は最も多い米国でも構成比は15.3%で、特定の1か国に集中する度合いは前年より薄まっている。費目別では、宿泊費が37.0%と最も大きく、買物代26.8%、飲食費21.7%が続いた。支出の3分の1超が宿泊に向かい、買物代を上回っている。
数より単価が効く局面へ
訪日客数そのものは、このところ前年を下回る月が続いている。日本政府観光局(JNTO)の推計値によると、4月は5.5%減、5月は3.6%減、6月は6.8%減と、3か月連続で前年を下回った。6月の訪日外客数は314万8,600人、2026年上半期(1〜6月)の累計は2,108万4,800人だった。
人数の伸びが止まるなかで消費額を保つには、1人当たりの単価が鍵になる。その単価は市場によって大きく開く。
主要国・地域別の1人当たり旅行支出をみると、相対的に高いのはメキシコ51.5万円、中東48.3万円、英国45.6万円で、オーストラリア42.7万円、フランス42.3万円、ドイツ40.8万円と欧米豪も高い(以下は抜粋)。一方、台湾は19.7万円、韓国は10.0万円と全国平均の24.4万円を下回る。
両市場は客数の多さで消費額の上位に入っている。単価差の背景には滞在日数や旅行内容の違いがあるとみられるが、速報はそこまで分析していない。
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| 国・地域 | 1人当たり旅行支出 |
|---|---|
| メキシコ | 51.5万円 |
| 英国 | 45.6万円 |
| オーストラリア | 42.7万円 |
| フランス | 42.3万円 |
| ドイツ | 40.8万円 |
| 米国 | 37.9万円 |
| 中国 | 26.7万円 |
| 香港 | 22.5万円 |
| 台湾 | 19.7万円 |
| 韓国 | 10.0万円 |
主要市場からの抜粋。中東48.3万円なども高い。出典:観光庁 2026年4-6月期(1次速報)。
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総額を守ったのは、一般客で客数が2.7%減る一方、1人当たり支出が3.3%増えたからだ。今期に伸びた市場は、台湾・韓国に加え、単価の高い米国(8.5%増)も含み、中身は一様ではない。それでも訪日客数そのものは前年割れが続く。
客数の先行きが読みにくい局面では、来た客に宿泊や飲食、地域での体験でどれだけ多く使ってもらえるかが効いてくる。人数の戻りを待つより、滞在中の消費機会を増やす設計を先に進めておきたい。
出典
- 観光庁「インバウンド消費動向調査2026年4-6月期(1次速報)の結果について」
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2026年4-6月期(1次速報)報道発表資料」
- 観光庁「インバウンド消費動向調査2026年1-3月期(1次速報)の結果について」
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計」


