【決算解説】KNT-CT営業益53%減 減収は万博と中東、減益は販管費

成田空港の出発ロビーに掲げられた大型の出発案内板と、その下を行き交う旅行者
Photo: jack berry / Unsplash
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売上は1%減、営業利益は半減した

シリーズ「決算で読む観光ビジネス」の今回はKNT-CTホールディングス。近畿日本ツーリストとクラブツーリズムを傘下に持つ、国内大手の旅行会社である。

同社は2026年8月6日、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の決算を発表した。売上高726.7億円は前年同期比1.1%減。これに対し営業利益は9.29億円で53.3%減と半分以下になった。経常利益13.3億円(42.4%減)、純利益13.1億円(32.4%減)である。

会社は減益の理由を、「前年の大阪・関西万博の需要増の反動に加え、中東情勢の影響等」による減収と費用増の2つで説明している。

純資産は前期末の621.39億円から345.34億円へ減り、自己資本比率は42.3%から26.4%へ下がった。四半期純利益は計上しており、会社は配当金の支払いによる利益剰余金の減少と、B種種類株式の取得に伴う資本剰余金の減少を理由に挙げている。

減益10.60億円のうち8.61億円は販管費

売上が1%しか減っていないのに営業利益が半減した理由は、損益計算書に出ている。

売上総利益は137.91億円で、前年同期から2.00億円減った。一方、販管費(販売費及び一般管理費=人件費や店舗費用など、売上原価以外の費用)は128.62億円へ8.61億円増えている。営業利益は19.89億円から9.29億円へ減った。営業利益の減少10.60億円のうち、8割強にあたる8.61億円は販管費の増加によるものだ。

減益の8割強は販管費の増加
KNT-CTホールディングス 第1四半期営業利益の増減(2025年4〜6月→2026年4〜6月)
KNT-CTホールディングス 第1四半期営業利益の減益要因 前年同期の営業利益19.89億円に対し、売上総利益の減少が2.00億円、販売費及び一般管理費の増加が8.61億円の押し下げ要因となり、当第1四半期の営業利益は9.29億円となった。減益額10.60億円のうち8割強が販管費の増加による。 5 10 15 20 0 (億円) 19.89 ▲2.00 ▲8.61 9.29 前年同期 売上 総利益 販管費 当四半期
(注:会社開示は百万円単位で、億円は編集部で換算した。会社は百万円未満を切り捨てて開示しているため、前年同期の営業利益から2つの要因を差し引くと9.28億円となり、公表値9.29億円と0.01億円ずれる。売上総利益の減少額・販管費の増加額について、会社はそれぞれの内訳金額を開示していない)
出典:KNT-CTホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算短信」をもとに編集部作成
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KNT-CTホールディングス 第1四半期 営業利益とその内訳(2025年4〜6月/2026年4〜6月)
項目前年当期増減
売上総利益139.91137.91▲2.00
販管費120.01128.62+8.61
営業利益19.899.29▲10.60

注:前年=2025年4〜6月、当期=2026年4〜6月。金額の単位はすべて億円。販管費=販売費及び一般管理費。売上高は前年734.6億円から当期726.7億円へ1.1%減、売上原価は594.7億円から588.8億円へ減少した。億円は百万円単位の会社開示を100で除して換算したもの(例:13,991百万円=139.91億円)。会社は百万円未満を切り捨てて開示しているため、前年同期の売上総利益から販管費を引くと19.90億円となり、公表の営業利益19.89億円と0.01億円ずれる。増減欄は各項目の当期値から前年同期値を引いた編集部算出で、売上総利益▲2.00と販管費+8.61を足し合わせると▲10.61となり、営業利益の増減▲10.60とは0.01億円合わない(同じく切り捨てによる)。出典:KNT-CTホールディングス「2027年3月期 第1四半期決算短信」

会社が万博の反動と中東情勢を挙げているのは減収の理由としてである。販管費が何にいくら増えたかは開示されていない。短信は費用面全体について「経費削減に努めたものの、人的投資およびシステム経費等が増加し」と記すにとどまる。

連結全体の減価償却費(無形固定資産の償却費を含む)は2.03億円で、前年から0.54億円増えた。

減益率は利益の段階が下るにつれ縮む。営業外収益が3.31億円から4.12億円へ増え、法人税等合計が3.55億円から0.11億円へ減ったためで、本業の採算とは別の動きである。

取扱額は旅行区分ごとに方向が割れた

同社は「旅行業」の単一セグメントで、事業ごとの損益を開示していない。動きは月次の取扱額(取り扱った旅行や関連商品などの金額)で見る。(注:グループ5社の合算で、連結売上高とは集計範囲も基準も異なる。会社は両者の対応関係を開示していない)

2026年4〜6月の取扱額は合計864.71億円で前年同期比98.6%。ただし区分ごとの方向はそろっていない。

海外は伸び、訪日は4分の3に
KNT-CTホールディングス 2026年4〜6月の旅行取扱額 前年同期比(前年=100)
KNT-CTホールディングス 第1四半期の旅行取扱額 前年比 2026年4〜6月の旅行取扱額の前年同期比は、国内旅行98.2%、海外旅行105.7%、訪日旅行74.8%、関連商品他101.0%、合計98.6%。海外旅行と関連商品他が前年を上回り、国内旅行はわずかに下回った。訪日旅行は4分の3の水準に落ちた。 70 80 90 100 110 国内旅行 98.2 海外旅行 105.7 訪日旅行 74.8 関連商品他 101.0 合計 98.6
(注:取扱額は近畿日本ツーリスト、近畿日本ツーリストブループラネット、クラブツーリズム、ユナイテッドツアーズ、KNT商事の5社合算で、連結売上高とは集計範囲・基準が異なる。会社は両者の対応関係を開示していない。区分ごとの取扱額はデータ表に記載)
出典:KNT-CTホールディングス「2026年6月 取扱額実績」をもとに編集部作成
この図表のデータを見る
KNT-CTホールディングス 2026年度第1四半期累計(2026年4〜6月)の旅行取扱額
区分当期前年前年比
国内旅行555.46565.9098.2
海外旅行235.63223.00105.7
訪日旅行44.4159.3774.8
関連商品他29.2128.92101.0
合計864.71877.1998.6

注:当期=2026年4〜6月、前年=2025年4〜6月。取扱額の単位は億円、前年比の単位は%。近畿日本ツーリスト、近畿日本ツーリストブループラネット、クラブツーリズム、ユナイテッドツアーズ、KNT商事の5社合算額で、連結売上高とは集計範囲・基準が異なる。億円は千円単位の会社開示を編集部で換算(10万千円=1億円)、前年比は会社開示の値。訪日旅行は14.96億円の減少。出典:KNT-CTホールディングス「2026年6月 取扱額実績」

海外旅行は235.63億円で105.7%と前年を上回った。中東系航空会社を使う南欧・東地中海方面が伸び悩む一方、海外の学生団体は133.6%。国内旅行は555.46億円で98.2%だが、クラブツーリズム国内(添乗員同行商品)が105.7%、フリー型の自社企画が78.4%と中身は割れた。

大区分で最も落ちたのは訪日旅行だった。44.41億円は前年同期比74.8%で、金額では14.96億円減っている。

四半期を通した落ち込みの理由を会社は説明していない。6月単月(85.9%)について取扱状況の概観は、個人旅行は東アジア・東南アジア市場の取り込みが好調だったものの「宿泊施設における直前の価格引下げなど、市場価格の変動の影響」を受け、団体旅行は「前年に取り扱った大型団体旅行の反動」があったとする。

あわせて読む 主要旅行業者全体の取扱額がどう動いているかは、こちらで詳しく解説している。

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通期予想は、5月に下げた中計目標に並んでいる

通期予想は据え置かれた。売上3,070億円(3.3%増)、営業利益62億円(2.1%増)、経常利益70億円(7.4%減)、純利益60億円(38.0%減)である。第1四半期の進捗率は営業利益で15.0%(編集部算出)。前年同期の営業利益は19.89億円だった。

会社は2026年5月13日、中期経営計画の最終年度の目標を修正している。営業利益の目標は85億円から62億円へ、純利益は80億円から60億円へ引き下げられた。いまの通期予想は、この引き下げ後の水準に並ぶ数字だ。

修正の理由として会社が挙げたのは、「中東情勢に伴う一部海外ツアーの催行中止等に起因する売上高の減少」と、「ベースアップを実施したことにより人件費等が増加」したことである。

あわせて読む シリーズ第1号では、JTBの2026年3月期をセグメント別に読み解いている。

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2027年4月、4社が1つになる

同社は2026年5月13日、グループ4社の一社化を決議している。KNT-CTホールディングスがクラブツーリズム、近畿日本ツーリスト、同ブループラネットを吸収し、商号はKNTCT株式会社に変わる。効力発生日は2027年4月1日の予定だ。グループの経営管理だけを担う純粋持株会社から、自ら事業を営む事業持株会社への移行である。

先行して2026年4月には個人旅行事業を一体化し、近畿日本ツーリストの直営店舗販売事業と仕入部門、同ブループラネットの国内市場向けWEB販売事業をクラブツーリズムに集約した。

合併の適時開示は、旅行業を取り巻く環境をこう書いている。「人口減少に伴う国内市場の縮小、交通機関・宿泊施設等による直販化の進展、デジタル化・AIの台頭など、構造的な変化に直面しております。従来型の総合旅行事業者の存在意義が低下しつつある一方で、訪日需要の取り込みや海外市場の開拓には新たな成長機会が存在しており、当社グループにおいても、環境変化を踏まえたビジネスモデルの抜本的な転換が重要な経営課題となっております」

会社は合併の目的を、グループ主要事業の運営を直接担い、意思決定から実行までを一体で推進する体制への転換だと説明している。

観光ビジネスの視点

この四半期でいちばん重いのは、営業利益の半減より、会社が適時開示に自ら書いた一文かもしれない。従来型の総合旅行事業者の存在意義が低下しつつある、という認識である。

一社化はその認識への答えである。4月の一体化で、会社は仕入れから商品企画・販売までを一体で運営する体制にした。集約先であるクラブツーリズムの添乗員同行商品は、国内旅行全体が98.2%で着地するなかで国内105.7%・海外105.9%と伸びている。2027年4月の一社化は、この集約をグループ全体に広げる形になる。

出典

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