「まだバレてない秋田県。」キャンペーン好評 委託費の1.2億円を広告宣伝に

秋田駅前に置かれた「AKITA」の立体文字と秋田犬をかたどったオブジェ。奥にJR秋田駅
Photo: MaruokaJoe / photoAC
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第1弾は「計画比約170%」、1.2億円をマーケティングへ

秋田県観光戦略課は2026年8月20日、観光誘客キャンペーン「まだバレてない秋田県。」(得旅キャンペーン)第1弾の実施結果を公表した。クーポンの利用は「計画比で約170%を達成」したという。

第1弾はクーポン配布が2026年5月7日から7月30日まで、宿泊対象期間が5月15日チェックインから7月31日チェックアウトまでだった。県によると、販売開始から1週間で予定していたクーポンの70%が利用され、とくに高価格帯のプランから購入が進んだ。

1か月経たずにほぼ終了したため、6月16日から追加クーポンを発売している。

得旅キャンペーン第1弾の特設サイトのトップ画面。新緑の湖畔にキャンペーンのロゴが重なる
得旅キャンペーン第1弾の特設サイト(画面は2026年8月23日時点。出典:秋田県観光連盟)

県が成果として前面に出したのは、割引の中身より予算の配り方だった。

リリースには「通常のクーポンキャンペーンは、予算のほとんどをクーポン原資とし、OTAに一括委託することが多い」とある。そのうえで本キャンペーンは「委託費7.7億円のうち、1.2億円をマーケティング活動に割り当て(一括委託からの脱却)」、観光情報が将来につながる「ストック型のマーケティング」を展開したとしている。

具体策として挙がっているのは、マイクロインフルエンサーを起用したInstagramのUGC(利用者による投稿)で観光の魅力を蓄積する取り組みである。

県は全体を「クーポンをきっかけに秋田県の観光資産を積み上げていくマーケティング活動」と位置づけた。計画比約170%という結果についても「『予算配分』『クーポン設計』『SNS』を中心に戦略的なマーケティング活動を実施してきた結果」と説明している。

利用者アンケートに表れた反応

県が公表した数字の多くは、宿泊者アンケートに基づく。実施したのは秋田県宿泊応援事業事務局で、第1弾の対象期間中に宿泊した3,733人を対象にGoogle Formsで行い、「宿泊にクーポンを利用した」と回答した人のデータを抽出して集計した。以下はいずれも、クーポン利用者へのアンケートの数字である。

「キャンペーンが旅行検討・計画にどのような影響を与えましたか」との問いには、「キャンペーンを機に新たに計画」が53.6%、「他県から秋田へ目的地を変更」が20.3%だった(複数回答)。

「今回の旅行を経て、秋田県をまた訪れたいですか」には95%以上が再訪を希望し、県外客の53.1%は「キャンペーンがなくても再訪したい」と答えている。予約プランの選択への影響では、38.3%が「通常より高単価のプラン」、23.2%が「食事グレードアップ」を選んだ(複数回答)。

県は、体験・食・地酒・特産品を組み込んだ割引対象の宿泊プランについて、OTA全体で700件の造成目標に対し1,000件以上が造成されたとしている。事業者の反応としては「1日の問い合わせが約100件になった事業者も(通常1〜2件)」という例も挙げた。

公的統計でも、観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2026年5月の秋田県の延べ宿泊者数は32万5,120人泊で前年同月比17.5%増だった。

第2弾は11月から、体験等とセットで最大1万2,000円

第2弾は10月1日にクーポンの配布が始まる。宿泊対象期間は11月1日チェックインから2027年2月28日チェックアウトまでで、冬季にあたる。対象の予約サイトはじゃらんnet、楽天トラベル、一休.com、Agodaの4つである。

県は令和8年度6月補正予算に「秋田県宿泊応援事業」として4億7000万円を計上した。事業内容は「OTAを活用した宿泊割引クーポンの追加発行等」である。

財源は物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金等で、事業の説明には「物価高騰等の影響を受けている宿泊事業者を支援するため」と書かれている。誘客策であると同時に、事業者への物価高騰対策でもある。

割引は二層になっている。基本の割引額は宿泊料金6,000円以上で1,000円、1万円以上で3,000円、1万5,000円以上で5,000円、3万円以上で1万円。ここに県内観光施設での体験などをセットにすると加算され、それぞれ3,000円、5,000円、7,000円、1万2,000円になる。

最大額は体験等とのセットで届く
得旅キャンペーン第2弾の割引額(2026年11月1日〜2027年2月28日の宿泊が対象)
基本の割引宿泊料金体験等とセット
1,000円6,000円以上3,000円+2,000円
3,000円1万円以上5,000円+2,000円
5,000円1万5,000円以上7,000円+2,000円
1万円3万円以上1万2,000円+2,000円
出典:秋田県「令和8年度6月補正予算の概要」「秋田県得旅キャンペーン「まだバレてない秋田県」開催中!」をもとに編集部作成。割引額は1人1予約あたり。(注:加算額は基本の割引との差=編集部算出)

最大の1万2,000円は宿泊だけでは届かず、3万円以上の宿泊に体験等を組み合わせて初めて成立する。加算額はどの帯でも2,000円である。なお県のキャンペーンページには、最大1万2,000円の割引はじゃらんnetと楽天トラベルのみに適用されるとの注記がある。

割引額の刻み自体は第1弾から変わっていない。水準を据え置いた第2弾は、第1弾で1,000件以上に積み上がった体験プランを土台にして冬に入る。

あわせて読む 地域が観光で稼ぐ仕組みの全体像は、こちらで整理している。

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割引キャンペーンの評価は、たいてい「原資が何日で掃けたか」で語られる。だが秋田県が今回の発表で前に出したのは、掃けた速さよりも予算の配り方だった。委託費7.7億円のうち1.2億円を広告宣伝に回し、OTAへの一括委託をやめた、という説明である。

クーポンは配り終われば残らないが、SNSに積み上がった投稿や観光情報は次のシーズンにも使える。 県がストック型と呼ぶのはそこであり、割引が切れれば消える一過性の集客ではなく、次の季節にも効く資産をつくりにいった設計である。

第2弾も同じ枠組みで回るなら、秋田県の観光情報はもう一段積み上がる。冬の宿泊需要を取りにいきながら、その先に残るものを同時につくる。割引キャンペーンの組み立て方として、参考にできる形になっている。

出典

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