
消費額は伸びたが、旅行者数はほぼ横ばい
観光庁は2026年5月20日、旅行・観光消費動向調査の2026年1-3月期(1次速報)を公表しました。日本人の国内旅行消費額は5兆9,136億円で、前年同期比4.8%増となりました。1-3月期としては3年連続の増加で、高い水準が続いています。
内訳は、宿泊旅行が4兆8,210億円(5.4%増)、日帰り旅行が1兆926億円(2.5%増)でした。消費の中心は宿泊旅行にあり、伸び率でも宿泊が日帰りを上回っています。
ただし、消費額の伸びがそのまま「旅行に出かける人が増えた」ことを意味するわけではありません。国内の延べ旅行者数は1億2,036万人で、前年同期比は0.4%増とほぼ横ばいでした。宿泊旅行は6,751万人(1.4%増)と微増した一方、日帰り旅行は5,285万人で0.9%減と前年を下回っています。
消費を押し上げたのは1回あたりの支出
人数がほぼ横ばいでも消費額が伸びた理由は、旅行単価の上昇にあります。1人1回あたりの旅行支出は49,133円で、前年同期比4.4%増でした。宿泊旅行では71,414円(3.9%増)、日帰り旅行では20,672円(3.5%増)と、いずれも前年を上回っています。全体の伸び(4.4%)が宿泊・日帰りそれぞれの伸びを上回るのは、単価の高い宿泊旅行が増え、単価の低い日帰りが減ったことも影響しています。
単価上昇の背景には、宿泊料金など旅行関連費用の上昇があります。インバウンド需要の拡大や人件費の上昇を受けて宿泊料金は上がっており、その影響は日本人の国内旅行にも及んでいるとみられます。こうした費用の上昇は、消費者が旅行の回数や日帰り旅行を見直す一因になっている可能性があります。
行く回数は増やしにくいが、1回あたりの支出は上がっている。今回の数字は、そうした国内旅行の構図を映しています。
インバウンドの2.5倍、国内市場は依然として最大
同じ1-3月期のインバウンド消費額は2兆3,378億円(2.5%増)でした。訪日客の消費がたびたび話題になりますが、日本人の国内旅行消費はその約2.5倍の規模で、訪日消費と比べても依然として大きな市場です。

しかも国内消費の伸び率4.8%は、インバウンドの2.5%を上回りました。訪日需要に注目が集まる一方で、国内旅行市場もまた、人数の伸びではなく単価の上昇によって消費額を伸ばしています。
国内旅行は人数が増えない市場になりました。それでも消費額が4.8%伸びたのは、1人1回あたりの支出が4.4%増えたからで、背景には宿泊料金の上昇があります。注意したいのは、その値上がりの先で日帰り客が0.9%減と先に細り始めていることです。
人数の成長が止まった市場で伸びるための問いは、「客数をどう増やすか」ではなく「1回の旅の財布の中でシェアをどう取るか」に変わっています。
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