
年明けは堅調、3月に失速
国連世界観光機関(UN Tourism)が6月に公表した最新の世界観光指標(World Tourism Barometer)によると、2026年1〜3月の国際観光客数は約3億700万人で、前年同期から約600万人増えました。月別では1月が前年比1.8%増、2月が3.3%増と伸びた一方、3月は0.4%増とほぼ横ばいでした。3月の伸び悩みの背景には、2月28日以降に強まった中東情勢の緊迫化があり、原油価格の上昇による運賃の値上がりなども重なりました。
地域別では、世界最大の目的地である欧州が4%増(1億3,000万人超)、アフリカも4%増と最も堅調でした。アジア太平洋は3%増、南北アメリカは2%増と続きます。唯一のマイナスは中東で、14%減と大きく落ち込みました。エジプトは16%増と健闘したものの、湾岸諸国が軒並み振るいませんでした。

中東発のコスト高が世界に波及
この影響は、中東だけにとどまりません。中東は欧州・アジア・アフリカを結ぶ航空の要衝です。空域の制限や減便で乗り継ぎが乱れ、中東のハブ空港に頼る南アジアは3月単月で27%減と大きく落ち込みました。アジア太平洋全体は3月もプラスを保ちましたが、地域のなかで明暗が分かれています。
さらに、原油とジェット燃料の価格上昇が運賃を押し上げ、一部の地域でも座席供給が絞られました。UN Tourismは、こうした情勢が長引けば2026年通年の伸びが当初予測の3〜4%を1〜2ポイント下回る可能性があると見ています。実際、専門家の64%が「中東情勢が自分の地域の需要に影響している」と回答し、5〜8月の見通しを示す信頼感指数(100が前年並みの目安)も、年初の117から105へ低下しました。
この世界の流れの中で、日本の状況を見てみると、訪日外客数のQ1累計は1,068万人で、2年連続で1,000万人を超えました。韓国や台湾など多くの市場が過去最高を更新する一方、中国本土からの訪日客が落ち込み、全体の伸びは前年同期比1.4%増にとどまり、世界平均(1.8%)を下回りました。
「旅行者の近場志向」は世界全体には減速要因ですが、日本には追い風になりえます。訪日の主力である韓国・台湾などにとって、日本こそが近場だからです。
警戒すべきは中東ハブに依存する南アジアなど遠距離市場で、3月の27%減はその表れです。世界平均を下回った訪日1.4%増も、中身は中国減という個別要因です。韓国・台湾など近距離の柱は過去最高を更新しており、崩れていません。
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