訪日4月、369万人で前年割れ
日本政府観光局(JNTO)は2026年5月20日、4月の訪日外客数(推計値)を公表した。4月は3,692,200人で、前年同月比は5.5%減だった。
前年を下回ったものの、2026年に入ってからの単月としては最も多く、1〜4月の累計は14,375,800人(0.5%減)と、2年連続で4月までに1,400万人を超えている。
前年割れの数字だけを見ると勢いが鈍ったように映る。ただ内訳をたどると、減少の理由は限られた要因に集中しており、訪日需要そのものが弱まったわけではない。
主因は中国とイースター
最も大きく効いたのが中国だ。4月の中国は330,700人で、前年同月比56.8%減と半分以下になった。
報道によれば、2025年11月に中国政府が自国民へ日本への渡航自粛を呼びかけて以降、訪日中国人の減少が続いており、4月も航空便の減便などが重なった。
もうひとつがイースター(復活祭)の時期のずれだ。昨年は4月だった休暇が今年は3月下旬から4月上旬に分散し、欧州を中心に訪日需要が3月へ前倒しになった。
実際、英国は13.8%減、ドイツは15.2%減、イタリアは34.2%減と欧州が軒並み前年を下回り、豪州も11.1%減だった。これらはカレンダー要因による減少で、単月の減少だけで需要の弱含みと見るのは早計だ。
一方で、9市場が4月として過去最高を記録している。韓国は878,600人(21.7%増)、台湾は643,500人(19.7%増)、米国は330,000人(0.8%増)、フランスは59,200人で単月として過去最高だった。シンガポール、マレーシア、ベトナム、インド、ロシアも4月の最高値を更新している。主たる減少要因が中国とイースターに特定されており、訪日需要が一様に弱含んでいるわけではない。

この図表のデータを見る
| 市場 | 前年同月比 |
|---|---|
| 韓国 | +21.7% |
| 台湾 | +19.7% |
| ベトナム | +18.6% |
| マレーシア | +18.1% |
| インド | +12.2% |
| フランス | +3.7% |
| 米国 | +0.8% |
| 英国 | -13.8% |
| 香港 | -14.3% |
| ドイツ | -15.2% |
| イタリア | -34.2% |
| 中国 | -56.8% |
東アジアは「増便」が押し上げ
市場ごとの増減を見ると、増便や新規就航が訪日客の増加を後押ししている。JNTOによると、韓国は仁川〜成田・仁川〜仙台の増便や釜山〜下地島の新規就航、台湾は台北桃園〜福岡・台中〜成田の増便が、それぞれ訪日客の増加を支えた。
インドもデリー〜羽田・ムンバイ〜成田の増便や、1月のデリー〜成田の新規就航が過去最高につながっている。逆に中国では航空便の減便が進んだ。座席供給だけで訪日客数が決まるわけではなく、需要が落ちれば減便が続く側面もあるが、路線や座席の増減は市場ごとの伸びを左右する重要な条件であることは確かだ。
あわせて読む 訪日市場全体の構造と、統計の読み方は、それぞれ別の記事で整理している。
単月の前年比は、政治情勢や祝日の配置といった一時的な要因で大きく振れる。今回の4月も、数字の前年割れは中国とイースターというはっきりした理由によるもので、訪日需要全体の失速を示すものではない。
事業者にとって大切なのは、単月の数字に一喜一憂せず、特殊要因を補正したうえで数か月単位の基調を読むことだ。あわせて、増便や新規就航といった交通インフラの整備が市場の伸びを支える条件である点も、誘致や受け入れを考えるうえで押さえておきたいところだ。
出典
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年4月推計値)」




