海外のみ前年超え、総取扱額はほぼ横ばい
観光庁は2026年7月24日、主要旅行業者43社・グループの5月の旅行取扱状況速報を公表した。5月の総取扱額は約3,267億円で、前年同月比99.9%とほぼ横ばいだった。海外旅行は前年を上回った一方、外国人旅行(訪日)と国内旅行はいずれも前年を下回った。
なお、ここでいう「外国人旅行」は、日本の旅行会社が取り扱ったインバウンド旅行を指す。日本を訪れた外国人旅行者の数(訪日外客数)やインバウンド消費額など、市場全体を示す数字ではない。
総取扱額の前年比は、3月の12.3%増、4月の6.9%増から一段と縮み、5月はほぼ横ばいまで減速した。区分別では、海外旅行が約1,084億円(2.4%増)と前年を上回ったものの、伸びは前月の21.3%増から大きく鈍った。国内旅行は約1,947億円(1.2%減)、外国人旅行(訪日)は約236億円(1.8%減)と、ともに前年割れになった。
(注:集計対象は3月が44社・グループ、4月・5月が43社・グループと月により異なる。エイチ・アイ・エスの集計範囲も4月の6社から5月は10社に変わっている。月ごとの前年比を並べて比べる際は、この点に留意したい。)
あわせて読む 主要旅行業者の4月取扱額の詳細は、こちらで詳しく解説している。
旅行業者の4月取扱額6.9%増、海外好調も訪日は前年割れ
2026年5月 主要旅行業者の取扱額(速報)
| 区分 | 5月取扱額 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 海外旅行 | 約1,084億円 | 102.4% |
| 外国人旅行(訪日) | 約236億円 | 98.2% |
| 国内旅行 | 約1,947億円 | 98.8% |
| 合計 | 約3,267億円 | 99.9% |
企業別(いずれもグループ各社の合算値)では、JTBが約1,123億円(2.5%増)で最も多かった。以下、KNT-CTホールディングスが約318億円(2.4%増)、日本旅行が約317億円(1.5%増)、エイチ・アイ・エスが約308億円(9.2%増)、阪急交通社が約302億円(16.6%減)と続く。首位のJTBを除く2〜5位は、約302億〜318億円と僅差で並んだ。
阪急交通社グループの減少が全体を押し下げ
5月のほぼ横ばいは、多くの会社が一様に落ち込んだ結果ではない。総取扱額は前年から約2.5億円減ったが、阪急交通社グループ(阪急交通社と阪急阪神ビジネストラベルの2社)だけで約60.3億円減少した。他社の増加を、阪急交通社グループの減少が相殺した形である。
阪急の5月の取扱額は約302億円で、前年比16.6%減だった。とりわけ海外旅行が約111億円(前年比64.8%)と大きく落ち込んだ。阪急を除くと、主要旅行業者全体の取扱額は約2%増、海外旅行に限れば約10%増と、いずれも前年を上回っていた計算になる。
前月とは方向が逆になった。4月は阪急の海外旅行が前年比47.6%増と大きく伸び、全体の6.9%増をけん引していた。5月はその海外旅行が反落した形だ。前年5月の海外旅行取扱額が約171億円と高い水準にあったことも、前年比の低下幅を大きくした。会社ごとの振れが大きいため、全体の数字は月ごとに上下しやすい。
訪日は中国減、国内も前年割れ
外国人旅行(訪日)に関連して、市場全体の動きを示す訪日外客数も見ておきたい。日本政府観光局(JNTO)によると、5月の訪日外客数は約356万人で、前年同月比は3.6%減だった。4月に続く2カ月連続の前年割れで、最大の押し下げ要因は中国だ。中国からの訪日客は約31万人(60.4%減)と大きく落ち込んだ。政府による渡航自粛の呼びかけや減便が背景にある。一方、韓国や台湾、米国など19市場は5月として過去最高を記録した。中国を除けば訪日客数はむしろ増えており、訪日全体の前年割れは中国の大幅減によるものだ。
旅行業者の外国人旅行取扱額も1.8%減り、訪日外客数と同じく前年を下回った。ただし、観光庁の資料には国・地域別の内訳がなく、中国市場の減少がこの取扱額にどの程度影響したかは確認できない。
国内旅行は1.2%減と、前月の1.6%増からわずかに前年割れへ転じた。国内の募集型企画旅行は、取扱額が前年同月比98.8%だった一方、取扱人数は88.4%まで減少した。
取扱額を人数で割った1人当たり平均取扱額は、単純計算で約4万900円から約4万5700円へ11.7%増えた。ただし、これが同じ商品の値上げを意味するとは限らず、旅行日数や方面、商品構成の変化も影響する。こうした「人数減・取扱額ほぼ横ばい」の動きは、3月から3カ月続いている。
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主要旅行業者の6月取扱額は3139億円で98.1% 国内旅行のみ前年割れ
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【決算解説】KNT-CT営業益53%減 減収は万博と中東、減益は販管費
総取扱額はほぼ横ばいだが、募集型企画旅行の取扱人数は11.1%減った。取扱額を人数で割った平均額が上昇し、人数減を補った形である。ただし、その背景が値上げなのか、旅行日数や商品構成の変化なのかは、この統計だけでは判断できない。
旅行会社や宿泊・交通事業者は、取扱額だけでなく、送客人数と1人当たりの金額を分けて見る必要がある。単月の数字で結論づけず、今後の推移を見極めたい。
出典
- 観光庁「主要旅行業者の旅行取扱状況速報(2026年(令和8年)5月分)」
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年5月推計値)」


