6月の延べ宿泊者数は6.5%減
観光庁は2026年7月31日、宿泊旅行統計調査の最新値を公表した。2026年6月(第1次速報)の延べ宿泊者数は4,678万人泊で、前年同月比6.5%減。うち日本人が3,426万人泊(4.4%減)、外国人が1,251万人泊(11.9%減)だった。
外国人が二桁減となったのは1月・4月に続いて今年3度目で、下げ幅は1月の15.8%減に次ぐ大きさだ。客室稼働率は全体で56.2%となり、前年同月を2.6ポイント下回った。指標は異なるが、日本政府観光局(JNTO)が公表した6月の訪日外客数も6.8%減で、3か月連続の前年割れとなっている。
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| 年月 | 全体 | 日本人 | 外国人 |
|---|---|---|---|
| 2025年1月 | 6.9% | -2.6% | 36.0% |
| 2025年2月 | -1.6% | -7.4% | 16.8% |
| 2025年3月 | 0.1% | -4.3% | 14.8% |
| 2025年4月 | 1.6% | -5.4% | 19.9% |
| 2025年5月 | 3.1% | -1.6% | 17.3% |
| 2025年6月 | -1.2% | -3.8% | 5.9% |
| 2025年7月 | -1.0% | -0.5% | -2.4% |
| 2025年8月 | 1.4% | 0.4% | 5.6% |
| 2025年9月 | -1.5% | -3.0% | 3.4% |
| 2025年10月 | 0.3% | -1.9% | 6.1% |
| 2025年11月 | -1.9% | -1.9% | -1.8% |
| 2025年12月 | -1.7% | -2.3% | 0.0% |
| 2026年1月 | -6.5% | -2.3% | -15.8% |
| 2026年2月 | -0.7% | -1.6% | 1.8% |
| 2026年3月 | -2.2% | -1.5% | -3.9% |
| 2026年4月 | -7.2% | -5.5% | -10.8% |
| 2026年5月 | -3.2% | -0.9% | -9.0% |
| 2026年6月 | -6.5% | -4.4% | -11.9% |
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」各月。いずれも延べ宿泊者数の前年同月比。2026年1月〜5月は第2次速報値、6月は第1次速報値。
減った分を日本人と外国人に分けると、6月の減少326万7,400人泊のうち外国人が約52%、日本人が約48%だった。外国人の下げ幅は大きいが、6月の落ち込みを外国人だけで説明できるわけではない。
5月は減少178万1,070人泊のうち外国人が約81%を占めており、月によって構図が違う(いずれも編集部が観光庁の公表値から算出。2025年は確定値、2026年5月は第2次速報値、6月は第1次速報値。比率は四捨五入)。
なお2026年1月分の調査から、標本を分ける基準(層化基準)が従業者数から客室数へ変更されている。観光庁は前年同月比・前年同月差には見直しの影響が含まれる可能性があると注記しており、前年との比較は、基準が変わった年の数字だと承知したうえで読む必要がある。
あわせて読む 宿泊旅行統計調査そのものの位置づけや、ほかの観光統計との使い分けは、こちらで整理している。
観光統計とは 主要統計の種類・読み方のポイント
5月は第1次速報から上方修正された
同時に公表された2026年5月(第2次速報)は、延べ宿泊者数5,429万人泊で3.2%減。日本人3,978万人泊(0.9%減)、外国人1,451万人泊(9.0%減)だった。
この5月の数字は、7月6日に出た第1次速報から上方修正されている。1次速報の時点では全体4.8%減・外国人13.4%減で、外国人は二桁減とされていた。
有効回収率は回収が進んで34.5%から45.9%へ上がった。外国人の下げ幅は4.4ポイント縮まっている。
前号で扱った4月は逆に、5月29日公表の第1次速報の4.6%減から、第2次速報で7.2%減へ下方修正されている。速報値は上にも下にも動く。
6月の有効回収率は36.1%である。今回の6.5%減も、第1次速報である以上、8月31日公表予定の第2次速報で書き換わる可能性がある。
あわせて読む 4月の下方修正と中国の半減については、前回の記事で詳しく扱っている。
外国人宿泊、2か月連続で二桁減 中国半減が重し
5月は大阪が2割減、3割増の県もあった
都道府県別と国籍別の内訳が出るのは5月分までである。6月の第1次速報にこれらの内訳はない。
その5月をみると、下げが最も大きかったのは大阪府の19.6%減だった。福岡県13.9%減、大分県11.9%減、東京都11.6%減が続いた。福岡県と大分県はこの統計で地方部に分類される県であり、減ったのは大都市だけではない。
大阪府は日本人だけでみると21.8%減で、外国人の16.8%減より落ち込みが大きい。客室稼働率も9.2ポイント低下し、下げ幅は全国最大だった。前年同月が大阪・関西万博の会期中だったことの反動とみられる。
一方で伸びた県も多い。愛媛県34.4%増、茨城県32.1%増、鳥取県31.8%増、富山県28.6%増、高知県25.4%増。いずれも日本人だけでみても同じ方向で、この伸びを押し上げたのは主に日本人客である。
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| 都道府県 | 延べ宿泊者数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 愛媛県 | 499,690人泊 | +34.4% |
| 茨城県 | 786,250人泊 | +32.1% |
| 鳥取県 | 284,150人泊 | +31.8% |
| 富山県 | 464,510人泊 | +28.6% |
| 高知県 | 317,200人泊 | +25.4% |
| 京都府 | 2,859,090人泊 | -9.3% |
| 東京都 | 8,242,690人泊 | -11.6% |
| 大分県 | 614,700人泊 | -11.9% |
| 福岡県 | 1,901,110人泊 | -13.9% |
| 大阪府 | 4,276,500人泊 | -19.6% |
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年5月・第2次速報)」。日本人・外国人を合わせた全体の数値。
外国人に限ってみると、話は変わる。三大都市圏が11.5%減、地方部が3.4%減で、どちらも前年を下回っている。
地方部が伸びたわけではない。減り方が都市部より小さかったために構成比が30.8%から32.7%へ上がった、というのが正確なところだ。
国籍別(客室数20室以上の施設が対象)では、中国が112.8万人泊で53.8%減となり4位だった。首位は米国の172.2万人泊(1.9%増)、2位が台湾の169.8万人泊(12.2%増)、3位が韓国の159.7万人泊(5.7%増)。
この国籍別の合計は1,276万人泊で、全施設ベースの外国人1,451万人泊とは対象施設が異なる。中国については、2025年11月に中国の文化・観光当局が自国民へ日本旅行を避けるよう呼びかけている。JNTOの訪日外客数でも6月の中国は57.3%減で、大幅な減少が続く。
一方でJNTOは、台湾・韓国・米国・インドなど15市場が6月として過去最高だったとしている。
5月の国籍別(同じく20室以上ベース)で伸びが大きかったのは、マレーシア41.1%増、ロシア31.1%増、インド20.9%増などだった。
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2か月とも稼働率が前年を上回ったのは旅館だけ
施設タイプ別の客室稼働率をみると、5月と6月の両方で前年同月を上回ったのは旅館だけだった。5月は41.5%で3.0ポイント上昇、6月は35.3%で0.3ポイント上昇している。5月はリゾートホテルも4.1ポイント上昇したが、6月は0.2ポイント低下した。
これに対してシティホテルは5月2.0ポイント低下・6月3.4ポイント低下、ビジネスホテルは1.2ポイント低下・1.9ポイント低下と、両月とも前年割れが続いた。
客室稼働率が80%を超えた都道府県の数も、5月はビジネスホテルが2(前年同月4)、シティホテルが1(同3)へ減った。増えたのはリゾートホテルの1(同0)だけである。
| 施設タイプ | 2026年5月 (第2次速報) | 2026年6月 (第1次速報) |
|---|---|---|
| 旅館 | 41.5% +3.0pt | 35.3% +0.3pt |
| リゾートホテル | 58.4% +4.1pt | 50.4% -0.2pt |
| ビジネスホテル | 74.5% -1.2pt | 70.9% -1.9pt |
| シティホテル | 73.0% -2.0pt | 69.1% -3.4pt |
| 簡易宿所 | 29.4% -0.3pt | 23.0% -5.2pt |
| 全体 | 61.0% -0.7pt | 56.2% -2.6pt |
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7月の宿泊3.5%減、日本人3.1%減・外国人4.6%減
全国平均だけを見ていると、宿泊市場の実態を読み違える。5月は大阪・福岡・東京などが減少した一方、愛媛・茨城・鳥取は3割前後増えた。施設別でも、旅館の稼働率は5月と6月の両方で前年を上回ったが、シティホテルとビジネスホテルは両月とも下回った。
重要なのは、これを「都市から地方へ需要が移った」と単純化しないことだ。外国人宿泊者は地方部でも減っており、伸びた県を主に支えたのは日本人客だった。6月の宿泊者数の減少も、外国人だけが原因ではない。
減少分の約52%が外国人、約48%が日本人だった。インバウンドだけで市況を判断せず、自社の宿泊者数がなぜ増減したのかを、日本人客と外国人客に分けて把握する必要がある。
出典
- 観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年5月・第2次速報、2026年6月・第1次速報)」
- 観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年4月・第2次速報、2026年5月・第1次速報)」
- 観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年3月・第2次速報、2026年4月・第1次速報)」
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年6月推計値)」
- 中華人民共和国文化和旅游部「提醒中国游客近期避免前往日本旅游」


