テーマパークと遊園地の違いを、規模や知名度の差だと思っている人は多い。だが公的統計は、規模や知名度で両者を分けてはいない。分かれ目は、テーマで空間全体を演出しているかどうかにある。
そして定義が分かれると、事業の姿もまるで違ってくる。国内最大手では、テーマパーク事業の売上高の約5割がアトラクション・ショー収入である。残りの多くは物販と飲食だ。
本記事では、テーマパークの統計上の定義と遊園地との違いを押さえたうえで、国内最大手の収益の内訳、市場規模の測り方、世界の入場者数の動きを解説する。施設の企画や運営に関わる人が、自社の稼ぎ方を点検する材料にしたい。
この記事のポイント
- テーマパークの統計上の定義は経済産業省の調査にある。入場料・特定の非日常的なテーマ・常設有料のアトラクション・空間全体の演出の4要件をすべて満たすもの。
- 遊園地の要件は、常設の遊戯施設を3種類以上持ち、フリーパスか料金の支払いで利用できること。テーマの有無は問われない。
- 2018年の調査ではテーマパーク21事業所で2,919億円、遊園地47事業所で330億円。3業種を分けた公的データはいまのところこれが最後。
- 国内最大手のテーマパーク事業はアトラクション・ショー収入50.9%、商品販売29.4%、飲食販売17.3%、その他2.3%。
- 月次の系列は総務省統計の参考表に、遊園地と合算した推計値として残っている。
4つの要件が「テーマパーク」を決める
テーマパーク全般を統一的に定義した法律は、確認した範囲では見当たらない。
定義規定がまったくないわけではない。租税特別措置法施行規則は、沖縄の特定民間観光関連施設に関する規定のなかで、テーマパークを「文化、歴史、科学その他の特定の主題に基づいて施設全体の環境を整備し、その主題に関連する遊戯施設その他の設備を設け、当該設備により客に娯楽を提供する施設」と定義している。同じ文言は地方税法施行規則にもある。
ただしこれは個別の税制の対象を切り分けるための定義だ。本記事では、遊園地との比較と統計の数字に接続できる、経済産業省の統計上の定義を使う。
出所は、経済産業省が実施していた特定サービス産業実態調査の報告書である。同報告書の「調査対象及び調査事項」が、調査対象を切り分けるために業種ごとの要件を書いている。
そこでのテーマパークは、入場料をとり、特定の非日常的なテーマのもとに施設全体の環境づくりを行い、テーマに関連する常設かつ有料のアトラクション施設を有し、パレードやイベントなどを組み込んで、空間全体を演出する事業所とされている。
この一文には4つの条件が入っている。入場料をとること、特定の非日常的なテーマがあること、そのテーマに関連する常設・有料のアトラクションを持つこと、そしてパレードやイベントで空間全体を演出していることだ。どれか1つを満たせばよいのではなく、4つすべてを満たす事業所が対象になる。
アトラクション施設についても報告書は注を置いている。映像、ライド(乗り物)、ショー、イベント、シミュレーション、仮想体験(バーチャルリアリティ)、展示物の施設などがこれにあたる。乗り物に限られていない。
規模も知名度も入場者数も、要件には入っていない。判定するのは、あくまで上の4つだ。
「テーマに関連する」という条件も見落とせない。アトラクションが世界観と切れていれば、条件を満たさないという読み方になる。
遊園地との違いは3種類以上の遊戯施設
では遊園地はどう定義されているか。同じ報告書は、遊園地を別の要件で切り分けている。
主として屋内、屋外を問わず、常設の遊戯施設を3種類以上(直接、硬貨・メダル・カード等を投入するものを除く)有し、フリーパスの購入もしくは料金を支払うことにより施設を利用できる事業所が遊園地である。ここでいう遊戯施設は、コースター、観覧車、メリーゴーランド、ゴーカートなどを指す。
並べてみると、2つの定義は問うている内容が違う。遊園地の要件は遊戯施設が3種類以上あるかという数の話で、テーマの有無は問われない。テーマパークの要件はテーマがあるかという質の話で、アトラクションの数は問われない。
遊園地に世界観を足せばテーマパークになるのではなく、そもそも数えている対象が違う。
| テーマパーク | 遊園地 | |
|---|---|---|
| 特定の非日常的なテーマのもとに施設全体の環境をつくる | 中心の要件 | 常設の遊戯施設を3種類以上持つ |
| テーマに関連する常設・有料の施設を持つ | アトラクション | 数を満たせばテーマとの関連は問われない |
| パレードやイベントを組み込み空間全体を演出する | 演出 | 要件に含まれない |
| 入場料をとる | 料金 | フリーパスの購入か料金の支払いで利用できる |
| 映像・ライド・ショー・イベント・展示物などを含む | 施設の範囲 | コースター・観覧車・ゴーカートなどの遊戯施設 |
| 規定なし | 数え方の除外 | 硬貨・メダル・カード等を直接投入する機器は数えない |
| 要件に入らない | 規模・知名度 | 要件に入らない |
境界は、調査の対象外リストからも読める。同報告書は、ゲームセンターや百貨店の屋上の遊戯施設、動物園・植物園・水族館・観光牧場で遊園地やテーマパークの定義に当たらないもの、博物館や美術館、入場料無料の公園、キャンプ場を対象から外している。逆に、指定管理者制度で運営を代行している施設は対象に含まれる。
なお、遊園地とテーマパークが同じ調査の同じ章で扱われてきたことも押さえておきたい。経済産業省の調査は「公園,遊園地・テーマパーク」という区分でこの3業種をひとまとめに集計してきた。日本標準産業分類でも、中分類「80 娯楽業」の下の小分類「805 公園,遊園地」に、細分類として「8052 遊園地(テーマパークを除く)」と「8053 テーマパーク」が並んでいる。
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テーマパークから道の駅まで 観光施設の全体像を3つの稼ぎ方で読む
事業所数は遊園地が多く 売上はテーマパーク
定義で分けた2業種は、経済規模でみるとまるで違う姿になる。
経済産業省の特定サービス産業実態調査の最新の確報は、平成30年(2018年)である。同調査はその後、令和2年7月に中止(廃止)が告知された。
同調査の第5表によれば、公園・遊園地・テーマパークの計は126事業所、年間売上高3,380億円だった。業務種類別では、公園が60事業所で131億円、遊園地が47事業所で330億円、テーマパークが21事業所で2,919億円である。該当事業所数がいちばん少ないテーマパークが、売上高では86.4%を占める。
1事業所当たりに直すと差はさらにはっきりする。テーマパークは約139億円で、遊園地の約7.0億円の20倍近く、公園の約2.2億円の60倍を超える。業種としてひとくくりにされているが、1事業所が動かす金額でみれば別の産業に近い。
この図表のデータを見る
| 業務種類 | 該当事業所数 | 年間売上高(百万円) | 売上高の構成比 | 1事業所当たり売上高 |
|---|---|---|---|---|
| テーマパーク | 21 | 291,914 | 86.4% | 約139億円 |
| 遊園地 | 47 | 33,047 | 9.8% | 約7.0億円 |
| 公園 | 60 | 13,074 | 3.9% | 約2.2億円 |
| 計 | 126 | 338,034 | 100.0% | 約26.8億円 |
経済産業省「平成30年 特定サービス産業実態調査報告書 公園,遊園地・テーマパーク編」第5表(表番号26-05)。該当事業所数と年間売上高は原表の掲載値。売上高の構成比と1事業所当たり売上高は編集部が算出した。該当事業所数は業務種類ごとの計数で、複数の業務を行う事業所は重複して計上されるため、3業種の合計128は原表の計126と一致しない(このため事業所数の構成比は算出していない)。年間売上高は3業種の合計が338,035百万円で、原表の計338,034百万円とは端数処理で1百万円ずれる。この業種は全数調査で、未回収分は平均値により補完して集計されている。経営組織別など内訳の一部には秘匿がある。
ただしこの数字の読み方には4つの断りがいる。第一に、ここでの売上高は「公園,遊園地・テーマパーク業務」の売上高であり、その企業の全社売上ではない。第二に、原表の「該当事業所数」は業務種類ごとの計数で、複数の業務を行う事業所は重複して数えられる。3業種を単純に足すと128になり、原表の計126とは一致しない。だから事業所数の構成比は出せないし、物理的な施設の数とも限らない。年間売上高のほうは3業種を足すと原表の計と1百万円しか違わず、こちらは足し合わせて構わない。
第三に、これは2018年の断面であって現在の姿ではない。第四に、この業種は全数調査で、未回収分は平均値で補完したうえで集計されている。経営組織別など内訳の一部には秘匿がある。
それでもこの2018年の数字には意味がある。公園・遊園地・テーマパークを業務種類別に分けて集計した公的データは、いまのところこれが最後だからだ。5年ごとの経済センサス‐活動調査でも事業所数と売上(収入)金額は取れるが、そちらは小分類「公園,遊園地」までで、3業種は分かれない。
国内最大手の収入は入場料だけではない
国内最大手のオリエンタルランドは、テーマパーク事業の売上高を収入区分ごとに開示している。東京商工リサーチの2026年の調査でも、遊園地・テーマパーク運営企業122社のうち売上高トップは同社(5,881億7,100万円)である。
2026年3月期(2025年度)のテーマパーク事業の売上高は5,683億円、営業利益は1,305億円だった。全社では売上高7,045億円、営業利益1,684億円である。テーマパーク事業だけで全社売上の80.7%を占める。
その5,683億円の内訳が、この記事の核心にあたる。アトラクション・ショー収入が2,895億円、商品販売収入が1,673億円、飲食販売収入が984億円、その他の収入が131億円だ。
構成比に直すと、アトラクション・ショー収入50.9%、商品販売収入29.4%、飲食販売収入17.3%、その他2.3%になる(編集部算出)。アトラクション・ショー収入が約5割で、物販と飲食が合わせて約47%を占める。
アトラクション・ショー収入は、2022年3月期まで「チケット収入」と呼ばれていた区分の後継にあたる。同社は開示内容を変更したときに、新旧の対象範囲を並べて示している。
従来のチケット収入の対象はパークチケットとアーリーエントリーチケットだった。アトラクション・ショー収入はこれに「体験の収益化」を加えた区分で、待ち時間を短縮できる「ディズニー・プレミアアクセス」などがここに入る。入場料はこの区分に含まれるが、入場料だけではない。
この図表のデータを見る
| 収入区分 | 金額(百万円) | 金額(億円) | 構成比 |
|---|---|---|---|
| アトラクション・ショー収入 | 289,547 | 2,895億円 | 50.9% |
| 商品販売収入 | 167,315 | 1,673億円 | 29.4% |
| 飲食販売収入 | 98,367 | 984億円 | 17.3% |
| その他の収入 | 13,115 | 131億円 | 2.3% |
| テーマパーク事業 売上高 | 568,345 | 5,683億円 | 100.0% |
株式会社オリエンタルランド「セグメント情報」セグメント別売上高内訳の’26/3期(2026年3月期=2025年度)。金額(百万円)は同社の掲載値。億円表記と構成比は編集部が算出した(4区分とも切り捨て方向に丸まるため構成比の合計は99.9%になり、4区分の合計568,344百万円は公表の売上高568,345百万円と1百万円ずれる)。この売上高は外部顧客への売上高で、セグメント間の内部売上高14,446百万円を含まない。同期の全社売上高は7,045億円(704,539百万円)、営業利益は1,684億円(168,413百万円)、テーマパーク事業の営業利益は1,305億円(130,488百万円)。テーマパーク事業の売上高が全社売上高に占める割合は80.7%(編集部算出)。
1人当たりで見ると、この構造はもっとはっきりする。同社のゲスト1人当たり売上高18,403円のうち、商品販売5,227円と飲食販売3,569円をあわせた8,796円は、入園したあとに使われた金額だ。入場料をいくらにするかと同じ重さで、園内で何を売るかがこの会社の売上を決めている。
なお、この構成比は1社の数字であり、テーマパーク業界全体の平均ではない。
ゲスト単価は9年で1.6倍になった
ゲスト1人当たり売上高は、収入の構造ではなく、1人からいくら受け取っているかを示す指標だ。
2025年度は18,403円。内訳はアトラクション・ショー収入9,608円、商品販売収入5,227円、飲食販売収入3,569円である。ここでも半分強がアトラクション・ショー収入で、残りを物販と飲食が分けている。
2016年度の合計は11,594円だった。9年で単価は約1.6倍になった。ただし一本調子で上がったわけではない。途中にコロナ禍による休園と入園制限をはさんでおり、人数を絞っていた時期の単価上昇と、その後の価格政策の効果が混ざっている。内訳項目の名称と範囲も途中で変わっているため、合計の上昇は確認できても、内訳を年度間で並べて構成の変化を語ることはできない。
同社は2026年3月期の決算説明会資料で、ゲスト1人当たり売上高が増えた要因を挙げている。アトラクション・ショー収入では、ディズニー・プレミアアクセスの増と、変動価格制による高価格帯チケットの構成比の増。
商品販売収入では、ダッフィー&フレンズ20周年関連商品とスペシャルイベント関連商品の増である。入園者数については、前期とほぼ同様としている。
あわせて読む 単価をどう組み替えるか、2026年の値上げが何を狙っているかは、それぞれ別の記事で扱っている。
市場規模の物差しは1つではない
日本のテーマパーク市場はいくらか。テーマパークだけの規模を直接示す公的統計は、確認した範囲では見当たらない。ここでは性格の違う3つの資料を取り上げる。
1つ目が、さきほどの特定サービス産業実態調査である。構造を測る調査で、事業所数と年間売上高が業務種類別に取れる。ただし平成30年調査を最後に廃止された。
2つ目が月次の動きを追う系列だ。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査は、遊園地・テーマパークについて売上高と入場者数を毎月調べていたが、2024年12月調査をもって終了し、総務省のサービス産業動向調査と統合された。2025年1月分からは総務省のサービス産業動態統計調査に引き継がれている。
旧調査の数字を引くときには注意がいる。経済産業省は集計結果の説明で、有意抽出のため母集団の復元は行っていないと明記している。つまり集計された売上高は、業界全体の市場規模ではない。過去の記事や資料でこの数字が市場規模として引かれていることがあるが、発行元の注記に照らせば市場規模とは呼べない。
後継の総務省統計では、e-Statに載る本表の産業別の粒度は産業中分類までで、遊園地・テーマパークは中分類「80 娯楽業」に含まれてしまう。ただしそれで終わりではない。総務省統計局は、旧調査で公表していた詳細業種について「特別集計」の参考表を別に毎月出しており、そこに細分類の「遊園地・テーマパーク」がある。
この参考表には3つの但し書きがある。遊園地とテーマパークは合算であること。数字は直接集計ではなく、上位分類の売上金額に経済構造実態調査などの生産物分類別売上構成比を乗せた推計値であること。そして旧調査とは調査設計が違うため、実数値での比較はできないことだ。集計は2025年の前年同月比が出せるよう2024年1月分にさかのぼっている。
この参考表で2025年の12か月を足すと、遊園地・テーマパークの売上(収入)金額は7,523億円になる(編集部集計)。推計値である以上そのまま市場規模と呼ぶことはできないが、業種別の月次を追える系列は公的統計に残っている。
3つ目が民間の調査である。東京商工リサーチは2026年8月23日に、遊園地・テーマパークなど運営企業の業績動向調査を公表した。122社の2025年度売上高の合計は1兆931億円で、前年比3.4%増だった。増収は74社で構成比60.6%、前年の84社から10社減っている。利益が判明した121社では増益が63社(52.0%)で、前年の57社から6社増えた。
この1兆931億円を市場規模として引くときも、母数の但し書きが要る。対象は同社の企業データベースから「遊園地」「テーマパーク」「動物園・植物園・水族館」を抽出し、5期連続で売上高が比較できる122社である。博物館・美術館は対象外で、対象区分以外の事業も展開する企業は他事業を含めた合計の売上高・利益が集計されている。
| 特定サービス産業 実態調査 (経済産業省・廃止) |
サービス産業 動態統計調査 (総務省) |
業績動向調査 (東京商工リサーチ) |
|
|---|---|---|---|
| 測って いるもの | 事業所数と 年間売上高の構造 | 本表=月次の売上(収入) 金額と従業者数 参考表=売上の参考値のみ | 運営企業の 売上高と損益 |
| 業種の 粒度 | 公園・遊園地・ テーマパークの 業務種類別 | 本表は産業中分類まで 特別集計の参考表に 細分類「遊園地・テーマパーク」 (遊園地と合算) | 3区分を抽出した 122社 |
| 直近で 使える値 | 平成30年 テーマパーク21事業所 2,919億円 | 2025年の12か月合計 7,523億円 (参考表・編集部集計) | 2025年度 122社合計 1兆931億円 |
| 更新 | 令和2年7月に 中止(廃止)を告知 | 毎月 | 2026年8月公表 |
| 使うときの 注意 | 企業全体でなく 当該業務の売上高 | 参考表は推計値 遊園地とテーマパークは合算 旧調査と実数比較不可 | 動物園・植物園・水族館を含み 対象企業の他事業も合算 |
このほか、参加人口や余暇市場の推計としては日本生産性本部の「レジャー白書」がよく引かれる。ただし有料の資料で、母集団の取り方も上の3つとは異なる。
3つの資料は、構造を測るもの、月次の動きを測るもの、企業の業績を測るものに分かれている。どれか1つで市場を語ることはできない。使うときは、何を数えた数字なのかを一緒に書く。
成熟市場は横ばい、中国の主要パークは記録更新
世界の入場者数を継続的に集計している一次資料は、テーマエンターテインメント協会(Themed Entertainment Association、TEA)が発行するGlobal Experience Indexである。旧称はTheme Index and Museum Index Reportという。
研究パートナーとともに暦年ベースで発行している無料のレポートで、2024年版が第19版にあたる。公表は2025年10月23日だった。
同協会のプレスリリースによると、世界のトップ25テーマパークの合計入場者数は2024年に2.4%増え、2億4,600万人近くになった。
米国・日本・西欧といった成熟市場の主要パークは横ばいから小幅な変動にとどまった一方、中国の主要な国際ブランドパークは顕著な成長を続け、記録的な年になった。同協会は、成熟市場が横ばいだった理由には触れていない。
ここで押さえておきたいのは、この指数が集計しているのは入場者数だけだという点である。世界の施設を同じ物差しで並べられるのは客数までで、収入の内訳まで揃えた国際的な集計は、確認した範囲では見当たらない。ここまで見てきたとおり、国内最大手ですら収入の半分近くは客数の外側にある。世界の順位表は、事業の大きさをそのまま映した表ではない。
客数で伸ばせない施設が出てきた
東京商工リサーチは前述の調査で、業界の状況について3つの見立てを示している。物価高や人件費の高騰で原価やサービス価格が上がり、値上げだけでは利益の確保が難しくなっていること。人気の施設では収容可能客数が限界に達し、客数の増加による業績拡大が見込めない局面を迎えていること。そして客数増加に頼らない成長に向けた施策が問われていることだ。
収容力が限界に達しているのは、同社が「人気の施設」として挙げた範囲の話である。同じ調査では122社中74社が増収で、伸びている施設も少なくない。
ただし増収企業は前年の84社から10社減った。値上げだけでは利益を確保しにくくなっているという指摘とあわせて読むと、客数を増やせない施設は、1人からいくら受け取るかで勝負するしかない。
客数で伸ばせる時代の終わりは、施設ごとに違う形でやってくる。国内最大手ですら2025年度の入園者数は前期とほぼ同じだった。それでも増収にできたのは、アトラクション・ショー、物販、飲食という3本の柱を別々に動かせているからだ。
問われるのは、自施設で動かせる柱が何本あるかである。入場料しか動かせない施設は、客数が頭打ちになった瞬間に打ち手が尽きる。逆に物販と飲食を持っていても、それを集客の付属物としてしか見ていなければ、柱としては数えられない。国内最大手が5割・29%・17%だからうちもそうすべき、という話ではない。自施設の3本がいまどの比率で、どれなら動かせるのか。そこから始まる。
よくある質問
出典
- 経済産業省「平成30年 特定サービス産業実態調査報告書 公園,遊園地・テーマパーク編」
- 経済産業省「特定サービス産業動態統計調査 利用上の注意」
- 総務省統計局「サービス産業動態統計調査 調査の結果」
- e-Gov法令検索「租税特別措置法施行規則」
- 株式会社オリエンタルランド「セグメント情報」
- 株式会社オリエンタルランド「単価(ゲスト1人当たり売上高)」
- 株式会社オリエンタルランド「2026年3月期 決算説明会資料」
- 東京商工リサーチ「2026年「遊園地・テーマパークなど運営企業」業績動向調査」
- Themed Entertainment Association「Official Release: 2024 TEA Global Experience Index」




