花火大会の有料席価格が「二極化」 最高価格帯は平均4万円超

夜の湖上に打ち上がる大輪の花火と水面に映る光
Photo: MIO ITO / Unsplash
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一般席とプレミアム席、広がる価格差

帝国データバンク(TDB)が7月22日に公表した2026年の主要な花火大会の有料席調査によると、最も安い席と最も高い席の価格差が過去最大に広がった。調査の対象は、平年の動員客数が10万人以上(2023年調査時点)の全国106大会で、価格は2026年7月17日時点で集計した。

このうち、個人席・グループ席や観覧エリアの入場料など、何らかの有料観覧枠を設けたのは84大会で、約8割を占めた。導入数は前年と同じだった。

ここでいう「一般席」「プレミアム席」は、各大会に共通する正式な席名ではない。TDBが各大会で最も安い席種と最も高い席種(いずれも1席または1区画あたり)を比べるために用いた区分である。グループ席も含むため、一人当たりの価格ではない。

最も安い一般席の平均は5,517円で、前年より231円(4.4%)高い。最も高いプレミアム席の平均は40,611円で、前年より2,807円(7.4%)高く、TDBの集計開始以降で初めて4万円台に達した

2023年と比べると、一般席は約16%、プレミアム席は約23%上がり、有料席はこの4年でおよそ2割高くなった計算になる。

この結果、プレミアム席の平均を一般席の平均で割った価格差は7.36倍(前年7.15倍)と、過去最大に開いた。TDBはこの動きを「二極化」と表現している。

プレミアム席では、ふるさと納税の活用や設備・アメニティの充実、高い競争倍率を背景に、5万円以上の席を設ける大会もある。TDBによれば、10万円を超える席種も珍しくないという。

一方で、1〜2万円前後の中位の席では売れ残った大会もあり、体験価値に見合う「妥当な価格」を探る動きが続いている。

実際の主要大会でも、席種による開きは大きい。2026年の主なチケットをみると、最も安い席は長岡まつり大花火大会の2,000円、土浦全国花火競技大会の4,000円などから始まる。一方、最上位席は、びわ湖大花火大会のラグジュアリーシートが2名で115,000円、諏訪湖祭湖上花火大会の一般マス席が16名で160,000円と、1組で10万円を超える。

ただしグループ席は定員が大きく、一人当たりに直すと諏訪湖の一般マス席は約1万円、大曲の全国花火競技大会のプラチナペア席(2名70,000円)は約3万5,000円と、席ごとに差がある。

主要花火大会の有料席、最安と最高(2026年)
主なチケット価格(税込・一般販売分)。総額の高い順。表は横にスクロールできます
諏訪湖祭湖上花火大会
長野・8/15
びわ湖大花火大会
滋賀・8/6
土浦全国花火競技大会
茨城・11/7
大曲の全国花火競技大会
秋田・8/29
長岡まつり大花火大会
新潟・8/2・3
神宮外苑花火大会
東京・8/8
最も安い席3,000円5,000円4,000円8,000円2,000円7,000円
最も高い席一般マス席
160,000円
(16名)
ラグジュアリーシート
115,000円
(2名)
桟敷席テーブル席
80,000円
(4名)
プラチナペア席
70,000円
(2名)
ベンチ式マス席
48,000円
(8名)
ペアシート
45,000円
(2名)
出典:各大会公式チケット情報(2026年、価格は一般販売分・税込)。参考=帝国データバンク調査の全国平均は最安値席5,517円・最高値席40,611円(いずれも1席/1区画あたり)。

運営費の上昇と5大会の中止

有料席の値上げも広がっている。有料席を設けた84大会のうち、45大会で値上げが判明した。前年の42大会から3大会増えている。

背景には運営費の上昇がある。TDBは要因として、警備会社やイベント企画会社への委託費、人手不足による人件費の高騰、円安と中東情勢の緊迫化に伴う火薬原料の値上がりと調達難、観覧席の椅子やテントなど備品レンタル代の値上げを挙げる。

同じ調査では、2026年の開催中止(未定を含む)が判明した大会も5つあった。TDBは大会名を公表していないが、地方大会では実行委員会メンバーの高齢化やスタッフ不足、警備費などの物価高を背景とした見送りが目立つ。近隣で大規模な国際競技大会が開かれるといった特殊事情による中止も一部でみられたとしている。

公表ベースでも、運営環境の変化を背景に中止や見直しに動く大会が各地でみられる。愛知の名港水上芸術花火は、秋のアジア・アジアパラ競技大会に向けた選手村の設営で会場が使えず、2026年の開催を見送る(2027年に再開予定)。京都の保津川花火大会も「諸般の事情」で2026年の開催を見送った。

神奈川のいせはら芸術花火大会は警備費・資材費の高騰による資金難や人手不足、広島の呉海上花火大会は物価高と人件費の上昇を理由に、それぞれ2026年の中止・廃止を決めた。

埼玉のあげお花火大会は会場の堤防整備事業で2021年から休止が続く。福島の須賀川市釈迦堂川花火大会は打ち上げ時間の制約や熱中症対策、人員確保の難しさから運営体制を見直すため、2026年度は休止する(翌年度の再開を目指す)。

運営環境の変化で相次ぐ花火大会の中止・見直し
運営費の高騰や会場事情などを背景にした2026年前後の例(各大会・実行委員会の公表。TDB調査の「中止・未定5大会」とは別)
大会(地域)中止・見直しの理由状況
呉海上花火大会
(広島)
物価高騰と人件費の上昇で、従来の形での開催が困難(呉まつり協会が決定)廃止
いせはら芸術花火大会
(神奈川)
警備費・資材費の高騰による資金難、人手不足、観客増加への安全確保が困難中止
名港水上芸術花火
(愛知)
秋のアジア・アジアパラ競技大会の選手村設営で会場が使えず、2026年は見送り(2027年に再開予定)見送り
保津川花火大会
(京都・亀岡)
「諸般の事情」により2026年の開催を見送り見送り
あげお花火大会
(埼玉)
会場の荒川河川敷で国の堤防整備事業が続き、2021年から休止休止
釈迦堂川花火大会
(福島・須賀川)
打ち上げ時間の制約や熱中症対策、人員確保の難しさなどから運営体制を見直し、2026年度は休止(翌年度の再開を目指す)休止
出典:各大会・実行委員会の公表および一次報道(2026年)。TDB調査で判明した「中止・未定5大会」は大会名が非公表のため、本図はそれとは別の公表事例。

運営費の上昇を受け、開催費の確保が課題となる大会もみられる。開催費の一部をクラウドファンディングで集める動きも各地でみられ、千葉県の手賀沼花火大会は我孫子市がふるさと納税型のガバメントクラウドファンディングで、横浜市の第52回金沢まつり花火大会はREADYFORで支援を募った。

いずれも各大会の公表情報によるもので、2026年にも、寄付で開催費の一部を補う事例が確認できる。

あわせて読む 中止・未定に至る大会が何を抱えているかは、火薬・警備・担い手の三重苦を追った記事で詳しく扱っている。

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観光ビジネスの視点

調査対象の主要106大会では、約8割が有料の観覧枠を設け、導入大会数は前年と同じだった。一方、最安値席の平均と最高値席の平均の比率は7.36倍に広がった。運営側には、開催費を確保しながら、手頃な価格の観覧枠と付加価値の高い席をどう組み合わせるかという設計が求められている。

出典

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