マリオット、独自AIで宿探し 自社データだけで動く会話型検索

Photo: Marriott International
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会話で宿を探す自社AI

マリオット・インターナショナルは現地時間2026年6月16日、自然言語の対話型検索「Ask Bonvoy(アスク・ボンヴォイ)」のベータ版を発表した

利用者は、日付や地域で絞る従来の検索に加えて、旅の目的や立地、食事・スパ・ゴルフといった設備の希望を自分の言葉で伝えられる。対象は約10,000軒・146の国と地域に広がるマリオット・ボンヴォイの宿泊施設だ。

Ask Bonvoyは入力された言葉から旅の目的を読み取り、ポートフォリオから絞り込んだ宿泊先の候補を返す

Ask Bonvoyで宿を絞り込む様子
Ask Bonvoyのデモ。検索バーに条件を入力すると、ポートフォリオから候補が絞り込まれる(出典:Marriott International)。

ただし予約そのものはAsk Bonvoy内では完結しない。宿を選んだあとは既存の予約機能へ引き継がれ、そこで予約を仕上げる仕組みだ。まずは英語(アメリカ英語)での提供で、Marriott.comとiOS・Android版のマリオット・ボンヴォイアプリの一部会員が対象となる。全世界・全面展開は2026年内を予定し、最終的に約2億8,300万人のマリオット・ボンヴォイ会員へ広げる計画だ。

自前AIと外部連携の両構え

Ask Bonvoyの特徴は、マリオット独自のAIアーキテクチャで動く点にある。

回答はオープンなWebではなく、マリオットが保有し検証した物件データだけに基づいて生成される。食事やスパ、ゴルフなどの設備情報で誤りを減らし、信頼性を高める狙いだ。

発見はAIに開き、予約は自社で握るAsk Bonvoyの処理の流れ。言葉で検索→独自AIが解釈→自社の検証済みデータで回答→既存の予約フローへ。

これは、ChatGPTのアプリ上で検索機能を公開したIHGやアコー、ハイアットとは対照的な選択だ。マリオットはAsk Bonvoy自体を他社のプラットフォームではなく、自社サイトとアプリの中に組み込んだ。

あわせて読む IHGのChatGPTアプリ投入の詳細は、こちらで詳しく解説している。

スマートフォンでChatGPTアプリを操作する手元 IHG、ChatGPT内にホテル検索アプリ 「発見はAI、予約は直販」の新導線

一方で、外部とも手を組む。マリオットはGoogleのAIモード旅行プロダクトに参画し、OpenAIの広告試験プログラム(Ad Pilot Program)にも加わる。

発表でアンソニー・カプアーノ社長兼CEOは、会話型AIを旅行者の探索体験の中心に据えると述べた。

ドリュー・ピント最高収益・技術責任者は、自社データに基づき、顧客の使い方を学びながら段階的に世界へ広げると説明している。

今後はロイヤルティのポイント残高を使った検索にも対応する予定だ。マリオットは2024年にも別荘予約サービス「Homes & Villas by Marriott Bonvoy」で自然言語検索を先行導入している。今回はその延長線上にある動きだ。

大手が競う「旅の入口」

今回の発表は、ホテル業界向けの技術見本市HITEC 2026(米サンアントニオ、6月15〜18日)の週に重なった。同じ週には旅行IT大手のアマデウスがAIエージェント向けの流通策を打ち出すなど、AIを旅行の入口に据える動きが相次いでいる。

背景にあるのは、旅行計画の起点が検索エンジンから対話型AIへ移りつつあるとの見方だ。発見の入口をGoogleやChatGPTに握られれば、送客コストの上昇やブランドへの忠誠度の低下を招きかねない。ホテル大手の間では「発見はAIに開き、予約と顧客接点は自社で握る」という構えが目立つ

そのなかでマリオットが選んだのは、2億8,300万人という会員基盤を武器に、入口そのものを自前で持つ道だ。日本も全世界展開の射程には入るが、提供時期は明らかにされていない。

観光ビジネスの視点

ChatGPTのアプリ上で検索機能を提供する大手があるなか、マリオットは自社サイトとアプリに独自AIを組み込んだ。違いは「誰のデータで、どの画面で旅行者と最初に出会うか」にある

ホテル各社は予約こそ自社で握るが、発見の入口をどこまで外部AIに委ねるかで判断が分かれている。ChatGPT上にアプリを置けば多くの利用者と出会える半面、その接点はプラットフォーム側に依存する。マリオットは2億8,300万会員と自社の物件データを土台に、発見の段階も自社の画面で完結させる道を選んだ。

日本の大手チェーンや旅行会社にとっても、AI時代に問われるのは技術力そのものより、自前で持つ会員基盤と一次データの厚みだ。まず自社が抱える顧客データと直販比率を点検することから始めたいところだ。

<出典>

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