16団体の連合会が一般社団法人に
全国の通訳案内士の団体でつくる日本通訳案内士団体連合会(通団連)は、2026年10月1日から一般社団法人として活動を始めた。前身の任意団体は9月29日の総会で解散を決めた。続けて法人の設立総会を開き、役員や活動計画、予算を可決した(加盟団体のGICSSによる公表)。
加盟は正会員7、協賛会員8、賛助会員1の計16団体である(通団連の連合会概要)。会長は、任意団体で2025年8月から会長を務めてきたランデル洋子氏が引き続き務める。ランデル氏は、NPO法人通訳ガイド&コミュニケーション・スキル研究会(GICSS)の理事長だ。
通団連は2021年10月1日、7団体が発起人となり任意団体として発足した。目的には、通訳案内士の地位の保全・向上、通訳案内士をめぐる課題の分析・解決、観光立国と国際親善への貢献などを掲げている。
2018年に業務独占を廃止
通訳案内士は、外国人旅行者に付き添い、外国語で旅行の案内をして報酬を得る仕事だ。2018年1月施行の改正通訳案内士法で業務独占が廃止された。資格がなくても、有償で外国語の観光案内ができるようになった。ただし、資格のない人が「全国通訳案内士」などの名称を使うことは今も禁じられている(観光庁の通訳ガイド制度)。
資格を持つ人は多いが、ガイドの仕事で生計を立てる人は限られる。観光庁の資料によると、全国通訳案内士の登録者は27,312名(2024年4月現在)だった。このうち、主に通訳案内で生計を立てていると見込まれる登録者は3,000〜4,000名程度にとどまる。資料は、この数字を複数の通訳案内士団体からの聞き取りによるものとしている。
登録に更新の仕組みはなく、廃業の届けを出していない人も多いとみられる(観光庁「ガイド人材の活性化に係る調査・検討会」の中間とりまとめ)。
JGAやJFGは加盟一覧の外に
通団連が全国の団体をすべて束ねたわけではない。観光庁は、全国通訳案内士に義務づけられた5年に1度の研修を担う登録研修機関を一覧にまとめている(2026年1月現在)。載っているのは通訳案内士の団体7つと企業3社だ。
7団体のうちGICSSなど4団体は通団連の正会員である。一方、日本観光通訳協会(JGA)、全日本通訳案内士連盟(JFG)、関西通訳・ガイド協会の3団体は、通団連の加盟一覧に入っていない。
観光庁は2026年3月、「全国通訳案内士の研修の高度化等に向けた検討会」の初会合を開いた。第1回の議題は、基礎研修のあり方と登録手続きの簡素化である。
委員名簿(2026年2月発表)には、ランデル氏や米原亮三副会長など、現在の通団連の役員4人が、それぞれ所属する団体の代表として名を連ねる。JGA、JFG、関西通訳・ガイド協会の代表も委員に入っている。検討会には、通団連の加盟団体と加盟していない団体の双方から、団体の代表者らが参加している。
あわせて読む 観光業の人手不足の全体像と、通訳案内士など専門人材の課題は次の記事で整理した。
観光人材の全体像 人手不足・給与・外国人材の現状
任意団体から一般社団法人になり、通団連は組織として新たな段階に入った。ただ、JGAやJFGなど通団連に加盟していない団体もある。今回の法人化で、通訳案内士の団体が一つにまとまったわけではない。
業務独占がなくなった現在、研修による質の維持・向上や、資格への信頼をどう高めるかが課題になっている。研修のあり方や登録手続きについては、3月から観光庁の検討会で議論が始まった。通訳ガイドを手配する旅行会社や自治体は、議論の行方と、現場の声がどの団体を通じて制度に届くかを見ておく必要がある。
あわせて読む 2018年改正後の資格と登録の仕組みは、こちらで詳しく解説している。
全国通訳案内士とは 2018年改正で何が変わったか
出典
- NPO法人通訳ガイド&コミュニケーション・スキル研究会(GICSS)「日本通訳案内士団体連合会」
- 一般社団法人日本通訳案内士団体連合会「連合会概要」
- 観光庁「通訳案内士法に基づく登録研修機関について」(2025年3月)
- 観光庁「通訳案内士関係団体のご紹介」(2026年1月現在)


