外国人宿泊、2か月連続で二桁減 中国半減が重し

Photo: Ya-Yen Lin / Unsplash
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外国人宿泊が2か月連続で二桁減

観光庁は2026年7月6日、宿泊旅行統計調査の最新値を公表した。直近となる2026年5月(第1次速報)の外国人延べ宿泊者数は1,382万人泊で、前年同月比13.4%減だった。あわせて公表された4月(第2次速報)も10.8%減で、外国人宿泊は4月・5月と2か月連続で二桁減となった

延べ宿泊者数(全体)は、5月が5,339万人泊(4.8%減)、4月が4,911万人泊(7.2%減)。全体でみると2025年11月から7か月連続で前年を下回っている。日本人は5月が3,957万人泊(1.4%減)で、外国人ほどの落ち込みではない。全体の減少は、外国人宿泊の失速が押し下げている構図だ。

外国人延べ宿泊者数の前年同月比の推移(2025年1月〜2026年5月)。2026年4月は10.8%減、5月は13.4%減で2か月連続の二桁減。
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外国人前年同月比
2025年1月+36.0%
2月+16.8%
3月+14.8%
4月+19.9%
5月+17.3%
6月+5.9%
7月-2.4%
8月+5.6%
9月+3.4%
10月+6.1%
11月-1.8%
12月+0.0%
2026年1月-15.8%
2月+1.8%
3月-3.9%
4月-10.8%
5月-13.4%

(注:2026年5月は第1次速報値で、7月31日公表予定の第2次速報値で変更となる可能性がある。)

客室稼働率は4月が全体59.1%、5月が60.6%で、いずれも前年同月を下回った。施設タイプ別にみると、4月に客室稼働率が80%を超えた都道府県は、ビジネスホテルが6、シティホテルが2で、前年同月(8、7)から減っている。なお2026年1月分の調査から集計基準(層化基準)が従業者数から客室数へ変更されており、前年比にはその影響が含まれる可能性があると観光庁は注記している。

4月は速報改定でさらに悪化

4月の数字は、5月末に出た第1次速報から下方修正された。1次速報では全体5,063万人泊(4.6%減)、外国人1,573万人泊(9.0%減)だったが、第2次速報で全体7.2%減・外国人10.8%減へ振れた。

背景には回収率がある。4月の有効回収率は1次速報時の24.2%から2次速報で44.7%まで上がり、より多くの回答を反映した推計値に更新された。有効回収率34.5%の5月・第1次速報も、2026年7月31日に公表予定の第2次速報で数値が修正される可能性がある。速報値は暫定の数字として読む必要がある。

あわせて読む 4月分の詳しい内訳や、中国依存から地方・アジアへ需要が分散していく構造変化は、前回記事で扱っている。

宿泊データが示す構造転換 中国依存から地方・アジア分散へ

米国が首位に、中国は半減で4位

4月の国籍別(客室数20室以上の施設が対象)で、延べ宿泊者数の首位に立ったのは米国(177.5万人泊)で、年間首位だった中国は半減して4位に後退した。ただし首位の米国も前年同月比6.1%減で、上位市場の多くが前年を下回った。順位が入れ替わったのは、全体が縮むなかで中国が55.0%減と突出して落ち込んだためで、米国が伸びて首位に立ったわけではない点には注意がいる。中国減の背景には、2025年11月に中国政府が自国民へ日本への渡航自粛を呼びかけたことがある。日本政府観光局(JNTO)の訪日外客数でも、5月の中国は60.4%減と大きく落ち込んでいる。

2026年4月 国籍別 延べ宿泊者数ランキング(上位10・実数)。1位米国177.5万人泊、2位台湾176.4万人泊、4位中国は107.2万人泊で前年比55.0%減。
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順位国・地域延べ宿泊者数前年同月比
1米国177.5万人泊-6.1%
2台湾176.4万人泊+11.1%
3韓国143.1万人泊+11.2%
4中国107.2万人泊-55.0%
5オーストラリア64.3万人泊-13.3%
6香港57.5万人泊-12.0%
7タイ54.3万人泊-0.5%
8英国43.6万人泊-10.4%
9シンガポール33.5万人泊-5.9%
10カナダ31.4万人泊-3.2%

(注:客室数20室以上の施設を対象とした集計で、外国人全体とは母数が異なる。)

中国が沈む一方で、前年を上回る市場もある。2位の台湾が11.1%増、3位の韓国が11.2%増と、上位では数少ない二桁増だった。急伸市場も目立ち、ベトナムが44.2%増、ロシアが37.4%増、インドが16.5%増。中国が抜けた穴を、台湾・韓国やベトナム・インドなどが一部補っている。

2026年4月 国籍別 延べ宿泊者数の前年同月比。中国55.0%減が突出、台湾11.1%増・韓国11.2%増、ベトナム44.2%増・ロシア37.4%増。
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国・地域前年同月比延べ宿泊者数
ベトナム+44.2%11.7万人泊
ロシア+37.4%14.8万人泊
インド+16.5%23.3万人泊
韓国+11.2%143.1万人泊
台湾+11.1%176.4万人泊
米国-6.1%177.5万人泊
香港-12.0%57.5万人泊
オーストラリア-13.3%64.3万人泊
中国-55.0%107.2万人泊

(注:客室数20室以上の施設を対象とした集計で、外国人全体とは母数が異なる。)

地域別にみると、4月の外国人宿泊は三大都市圏が14.6%減、地方部が2.3%減で、都市部の落ち込みが大きい。中国など一部市場の減少が、都市部の宿泊需要に影響したとみられる。ただし国籍別の地域内訳まではこの統計では確認できない。

「過去最高」だった2025年から反落

今回は2025年の年間確定値も同時に公表された。2025年の外国人延べ宿泊者数は1億7,992万人泊で、前年比9.4%増と過去最高を更新した(2019年比55.6%増)。延べ宿泊者数全体に占める外国人の割合も27.2%まで高まった。全体は6億6,111万人泊(0.3%増)、客室稼働率は年間61.6%で、前年から2.0ポイント上昇した。

その2025年の国籍別で首位だったのも中国で、前年比20.5%増だった。2025年に宿泊需要を過去最高へ押し上げた最大の市場が、渡航自粛で年をまたいで減少に転じたことになる(注:年間の国籍別は従業者数10人以上、月次は客室数20室以上が対象で、集計の母数が異なる)。地方部の外国人宿泊は2025年に19.1%増と三大都市圏(5.1%増)を上回り、構成比は33.7%まで高まった。もっとも2026年4月の月次では地方部も2.3%減で、地方が伸び続けているわけではない。ただ都市部の14.6%減に比べれば地方部の落ち込みは小さく、地方分散の傾向が急に途切れたわけではない。今後の月次で維持されるかを見ていく必要がある。

観光ビジネスの視点

注目すべきは、市場ミックスの逆転だ。2025年に年間首位・20.5%増と宿泊需要を最も大きく押し上げた中国が、4月には55.0%減へ転じた。その裏で、中国に次ぐ規模だった米国が月次の首位に立っている。減少幅では中国が突出するが、都市部ホテルの逆風を中国一国だけで説明できるかは、今回の公表値だけでは判断できない。4月の国籍別は客室数20室以上ベースで、5月の宿泊統計に国籍別内訳はまだなく、JNTOの訪日外客数も入国者数ベースで指標が異なるためだ。見るべきは総数の増減よりも、中国が抜けた穴を台湾・韓国やベトナム・インドなどの伸びがどこまで補うか、という市場ミックスの変化である。

<出典>

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