Googleホテル広告とは、Googleの検索やマップでホテルを探す人に、自社サイトの料金と予約リンクを見せる広告だ。予約欄には、旅行予約サイト(OTA)の料金と並んで表示される。
ただし、この予約欄に載るのに、必ずしも広告費は要らない。2021年からは、無料の予約リンクでも料金を出せるようになった。Googleホテル広告は、無料の枠に加えて、入札で上位の掲載を狙うための追加の選択肢だ。
本記事では、予約欄の仕組み、費用の払い方と判断の物差し、小さな宿が始める順番を整理する。管理画面の操作手順、メタサーチ全般、OTAの手数料の水準は扱わない。
この記事のポイント
- 正式名はGoogle広告の「ホテル キャンペーン」で、予約欄にOTAと並んで自社サイトの料金を出す。
- 2021年に無料化された予約リンクもあり、Googleへの掲載料はかからないが、お金で順位は上げられない。
- いまの入札方式はすべてクリック課金で、広告費の率をキャンセル後の数字でOTA手数料と比べるのが目安だ。
- 小さな宿は、接続パートナー経由で料金を送り、無料の予約リンクと料金の正確さを整えることから始める。
Googleホテル広告とは 予約欄に出す広告
Googleでの正式な呼び名は、Google広告の「ホテル キャンペーン」で、表示されるものを「ホテル広告」と呼ぶ。広告が出るのは、検索やマップでホテルを探したときに現れる「ホテル予約モジュール」(予約欄)だ。
Googleのヘルプによると、YouTubeでホテルを検索した場合も対象になる。ホテルを選ぶと、日程に合わせた料金と、予約先へのリンクが並ぶ。広告のリンクには「広告」の表示が付く。
この予約欄に並ぶのは、ホテル自身だけではない。OTAやメタサーチ(宿泊料金の比較サイト)も、同じ欄に料金を出している。直販(自社サイトでの直接予約)と、OTA経由の予約が同じ欄で比べられる形だ。
宿の側から見ると、まず問われるのは、無料の枠で足りるか、広告費を払って上位を狙うかだ。広告を使うなら、OTA経由の予約と比べて見合うかを確かめることになる。答えるには、予約欄の仕組みと費用の払い方を順に押さえる必要がある。
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予約欄は無料化され、OTAも広告を出す
予約欄は、もともと有料の場所だった。Googleの公式ブログによると、ホテルの予約リンクはかつて有料のホテル広告として提供されていた。2021年3月、Googleは世界のホテルや旅行会社が無料で予約リンクに載れるようにすると発表した。
これで、広告費をかけなくても、自社サイトの料金をOTAと並べて見せられるようになった。一方で、予約欄にはOTAも広告主として並び、大手OTAは集客に大きな費用を投じている。Booking Holdingsの2025年の広告宣伝費は、81億8,600万ドルだった。
同社の年次報告書の数字で、前年より12.5%増えた。検索エンジンのキーワード購入やメタサーチからの送客、ブランド広告などを含む総額だ。Googleホテル広告に使った金額は開示されていない。
この図表のデータを見る
| 年 | 広告宣伝費(百万ドル) |
|---|---|
| 2023年 | 6,773 |
| 2024年 | 7,278 |
| 2025年 | 8,186 |
Booking Holdings「Form 10-K(2025年度)」の連結損益計算書の Marketing expenses。2025年は前年比12.5%増で、総取扱高の4.4%。図は億ドル単位(小数第1位)で表示している。
Expediaは年次報告書で、まとまった量の集客を得ていると記す。経路は、Googleを含む検索エンジンのクリック課金広告やディスプレイ広告と、メタサーチだ。予約欄の広告主は宿だけではなく、OTAも同じ欄に広告を出し、集客全体に大きな費用を投じている。
Googleでホテルを探して予約する方法にも、新しい動きがある。Googleは2026年8月、検索のAI Modeでホテルを予約できる機能を発表し、米国の英語版から始めた。AI Modeは、AIと対話しながら調べられる検索の機能だ。
提携先はBooking.comやMarriottなど10社で、予約の販売者はホテルや予約サイトが担う。日本での提供は発表されておらず、広告との関係もGoogleは示していない。
予約欄に載るまでの3段階
Googleのホテルオーナー向けガイドに沿うと、予約欄に料金が出るまでは3つの段階に整理できる。土台がGoogleの「ビジネスプロフィール」、次が無料の予約リンク、その上が任意のホテル広告だ。Googleのヘルプによると、プロフィールを整えるとマップと検索に表示されるが、それだけでは料金は出ない。
料金を出すには、接続パートナーを通じて、Googleの「Hotel Center」に料金と空室状況を送る。料金の正確さなどの条件を満たせば、無料の予約リンクに載せられる。Googleは、無料の予約リンクは広告ではなく、さまざまな情報をもとに順位を付けると説明している。
無料の予約リンクは、Googleへの掲載料もクリックの料金もかからず、お金で上位を買うこともできない。ホテル広告は、入札で上位の掲載を狙う有料の仕組みだ。
広告の順位は、入札額と広告の品質によるオークションで決まる。品質には、料金の正確さや、検索した人の求めにどれだけ合うかが含まれる。
無料の予約リンクと広告に共通する土台が、料金の正確さだ。Googleの料金精度のポリシーは、予約ページにGoogleと同じ合計料金を出すよう求める。予約は24時間以内に確定させる必要がある。
精度の評価は「非常に良い」から「不合格」までの5段階で、低いと広告と無料の予約リンクの両方で順位が下がる。不合格になると、どちらも表示されなくなる。
Googleは2025年9月、ポリシーは変えずに基準を厳しくし、不正確な料金をより多く外すと告知した。広告費をかける前に、料金を正しく送れているかが、無料の予約リンクと広告の両方の前提になる。
直販にとって大事な表示もある。ホテル自身やその予約システムなどの広告には、「公式サイト」のバッジが付く場合がある。Googleのヘルプによると、バッジは1つの広告にだけ表示され、OTAには付かず、追加の費用もかからない。
あわせて読む OTAとメタサーチの違いや、旅行サイトの手数料の仕組みは、こちらで解説している。
費用はクリック課金、物差しは販売コスト率
ホテル広告の費用は、入札方式で決まる。Googleのヘルプが挙げる現在の入札方式は4つで、いずれもクリックされたときに費用が発生する。表のROAS(広告費用対効果)は、予約額を広告費で割った値だ。
| 入札方式 | 入札の決め方 | 種類と前提 |
|---|---|---|
| 目標広告費用対効果(目標ROAS) | 予約額の目標に合わせて自動で調整 | 自動(予約と金額の計測が必須) |
| 拡張クリック単価 | 手動の入札額を自動で補正 | 半自動(予約と金額の計測が必須) |
| 個別クリック単価 | 1泊あたりの金額を手動で決める | 手動(単独での使用は非推奨) |
| 割合クリック単価 | 1泊料金に対する割合を手動で決める | 手動(単独での使用は非推奨) |
予約と金額の計測とは、広告から自社サイトで入った予約とその金額をGoogleに知らせることだ。サイトに入れる計測タグのほか、Googleアナリティクスなどから取り込む方法もある。
入札額は1泊ごとに計算され、泊数の分だけ積み上がる。Googleの例では、入札を1.4%とし、3泊の料金を10,000円・9,000円・8,000円とする。1クリックの費用は、入札単価調整前で最大140円・126円・112円の合計378円だ。
以前は、予約や宿泊が済んだときだけ払う「コミッション型」もあった。Googleは2024年4月に新規での利用を止め、2025年2月に終了した。宿泊を測るのに、サードパーティのクッキーが必要だったことを理由に挙げている。
いまの費用は、予約が入るかどうかにかかわらず、クリックごとに発生する。本記事では、広告経由の予約額に対する広告費の割合を「販売コスト率」と呼び、判断の目安にする。
Googleは目標ROASを決めるための計算例を示している。予約額500円に対して広告費が100円なら、ROASは500%になる。実績の数字ではない。
ROASの逆数をとると、販売コスト率になる。ROASが500%なら20%、1,000%なら10%だ。費用はクリックの時点で発生するため、予約がキャンセルされても広告費は変わらない。
例えば広告費100円で500円の予約を得ても、2割がキャンセルされると、残る400円に対する割合は25%に上がる。Googleも、終了したコミッション型の説明で、キャンセルを見込んで目標を高めに置く計算例を示していた。
Googleによると、広告をクリックしてから予約に至るまで、数日から数週間かかることもある。自社がOTAに払っている手数料と比べるときは、キャンセル後の予約額で、一定期間の実績をそろえる必要がある。
相場の目安は示せない。Googleは、ホテル広告のクリック単価や平均のROASを公表していない。OTAの手数料率も多くが公表されておらず、水準は別の記事で整理している。
なお、販売コスト率は広告費だけの率で、接続パートナーなどの費用は含まない。
小さな宿にとっての「要件の重さ」
ホテル広告を使った施設の直販がどれだけ増えたかを示す公式のデータは、確認できない。そこで、使い始めるのに何が要るかから、小さな宿にとっての重さを確かめる。
まず料金の送り方だ。Googleのヘルプは、申し込みが集中しているため、現在はGoogleとの直接の連携を受け付けていないとする。料金は「接続パートナー」を通して送る。
接続パートナーに当たるのは、予約エンジン、サイトコントローラー、PMSなどだ。予約エンジンは自社サイトの予約システム、PMSは宿泊施設の管理システムを指す。サイトコントローラーは、複数の予約サイトの在庫と料金をまとめて管理する仕組みだ。
Googleの告知によると、ビジネスプロフィールから宿が自分で料金を入れる機能も、2025年7月30日に終わった。新たに料金を出すなら、接続パートナーを通すのが基本になった。
Googleの一覧に載る接続パートナーは336社で、このうち広告にも対応するのは124社だ。日本語に対応するのは28社で、日本語と広告の両方に対応するのは19社ある(2026年10月時点・編集部集計)。
次に入札方式だ。目標ROASには、予約と金額を計測できる状態が要る。Googleは目標ROASの見直しの目安として、キャンペーンごとに週50件以上のコンバージョン(予約)を挙げている。
評価は、使い始めて15日以上たってからとしている。週50件は、広告を使うための条件ではない。手動の個別クリック単価と割合クリック単価は、どちらも単独での使用をGoogleが勧めていない。
広告費が見合うかを確かめたいなら、先に予約と金額を測れる状態を整える必要がある。
始め方 無料の予約リンクから広告へ
Googleのホテルオーナー向けガイドは、ホテルを特定する、料金を表示する、ホテル広告を掲載する、の3段階を示している。3つ目の広告は任意で、負担の軽い順に進める。
ビジネスプロフィールを整える
最初に、Googleのビジネスプロフィールを作るか、オーナーであることを確認する。Googleは、次の段階に進む前にこれを済ませるよう求めている。プロフィールの運用は、別の記事で整理する。
接続パートナー経由で料金を送る
使っている予約エンジンやサイトコントローラーが、Googleと連携しているかを確かめる。連携していれば、料金と空室状況をGoogleに送るよう頼む。新しく選ぶ場合は、Googleの一覧から探せる。利用料はパートナーごとに確かめる。
料金の正確さを保つ
予約ページの料金を、Googleに出る料金と、税や手数料を含む合計で合わせ続ける。料金のずれが続くと、無料の予約リンクにも広告にも出なくなる。
広告は計測をそろえてから
ホテル広告は、Googleのガイドでも任意の段階だ。料金を接続パートナー経由で送っている場合は、パートナーに相談して始める。すでにGoogleと直接連携している場合は、自社でキャンペーンを作れる。
広告を始めるなら、予約と金額の計測を先に整える。そのうえで、キャンセル後の数字で販売コスト率を出し、OTAの手数料と比べて見合うかを確かめる。
なお、検索広告の側でも動きがある。Googleは2026年、米国向けのサイトで、旅行の広告を1つの検索キャンペーンでまとめて扱えるようにしたと発表した。ホテル キャンペーン自体がどうなるか、日本でいつ使えるかは、まだ公式に示されていない。
予約や宿泊が済んだときだけ払うコミッション型は、2025年2月に終わった。ホテル広告の費用は、予約が入らなくても、キャンセルされても、クリックの分だけ出ていく。
同じ年の7月には、ビジネスプロフィールから料金を入れる機能も終わった。新たに料金を出すなら、接続パートナーを通すのが基本になった。
小さな宿が先に確かめるべきは、入札額ではなく、自社の料金がGoogleに正しく届き、無料の予約リンクに出ているかだ。広告はその後で、広告経由の予約額をキャンセル後の数字で測り、OTAの手数料と見比べて判断すればよい。
その第一歩は、使っている予約エンジンがGoogleに料金を送れるかを確かめることだ。
よくある質問
あわせて読む 地図に施設を正しく出す方法は、こちらで詳しく解説している。
MEO対策とは ホテル・観光施設のGoogleマップ集客の基本
出典
- Google「Google 広告のホテル キャンペーンについて」
- Google「ホテル広告の単価設定の概要」
- Google「無料の予約リンクを使用してより多くの旅行者とつながる」
- Google「ホテルオーナー(ステップ 2: 料金を表示する)」
- Google「料金の精度に関するポリシー」
- Booking Holdings「Form 10-K(2025年度)」




