MEO対策とは、Googleマップと検索で地域の店や施設を探す人に、自分の施設を正しく見つけてもらうための取り組みだ。Googleによると、Googleマップには2025年だけで10億件以上のクチコミが投稿された。2026年には、生成AIのGeminiがクチコミを読み込み、旅行者の質問に答える機能が日本でも始まった。
ただし、MEOは順位を買ったり、裏ワザで上げたりする仕事ではない。Googleは順位を主に関連性・距離・知名度で決め、お金では上がらないと明言している。ホテル・観光施設のMEOの柱は、施設の情報を正確に整えることと、クチコミに誠実に向き合うことの2つだ。
本記事では、順位の決まり方、ホテルのプロフィールの仕組み、クチコミを集めるときに守るべき法律とGoogleの規約を整理する。Googleホテル広告の運用、ステルスマーケティング規制の制度全体、自社サイトの検索対策、多言語でのクチコミ対応は扱わない。
この記事のポイント
- MEO対策は、Googleマップと検索の地域の結果に施設を正しく出す取り組みで、プロフィールの作成は無料だ。
- 順位は主に関連性・距離・知名度で決まり、Googleはお金で順位を上げる方法はないとしている。
- ホテルのプロフィールは料金・予約リンク、旅行サイトのクチコミ、ホテルクラスが外から入り、施設が書ける範囲は限られる。
- クチコミの対価はGoogleの規約で禁止され、星5を条件に割り引くと、広告と明示しない限り景品表示法違反になる。
- 始め方は、オーナー確認、情報の整備、写真、クチコミへの返信、数字での確認の順だ。
MEO対策とは 地図に施設を正しく出すこと
MEO対策とは、Googleマップと検索の地域の結果に、自分の店や施設を正しく出すための取り組みだ。Googleはこの結果を「ローカル検索結果」と呼ぶ。利用者が現在地の近くの店や場所を探すと、Googleマップと検索に表示される。
その結果に出てくる施設の情報が、Googleの「ビジネスプロフィール」だ。名称・住所・写真・クチコミなどがまとまっていて、施設側はオーナー確認をすると情報を管理できる。Googleのヘルプには、旧称の「Googleマイビジネス」のままのページも一部残っている。
MEOという言葉は、確認した範囲のGoogleのヘルプや公式ブログには出てこない。国内のマーケティングの現場で使われる呼び名だ。本記事では、ビジネスプロフィールの運用を中心に扱う。
プロフィールの作成と掲載に料金はかからない。客が訪れることのできる実在の店舗や拠点があれば作ることができ、1つのビジネスにつき1つが原則だ。
宿泊・観光施設が打つ手を決めるには、順位の決まり方と、ホテルのプロフィールの情報の出どころを先に押さえておく。
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なぜ今、クチコミの中身が問われるのか
Googleマップには膨大な情報が集まり、その使われ方も変わりつつある。Googleによると、2025年だけで10億件以上のクチコミが投稿された。営業時間や連絡先などへの修正の提案も、8,000万件寄せられた。
2026年には、日本で新しい機能の提供が続いた。2月には、日本国内のAndroidとiOSのアプリで、レストランやホテルなどを調べると「この場所のヒント」が出るようになった。Geminiがクチコミやネット上の情報を分析して示すものだ。予約の方法や駐車のコツなどが並ぶ。
あわせて、「大人数に向いていますか」といった場所への質問にGeminiが答える機能と、クチコミの要約も始まった。
8月には、会話するように相談できる「マップに相談」の日本での提供が始まった。Googleは、5億人以上の投稿者によるクチコミと、3億以上の場所の情報を分析して提案すると説明している。
旅行者が目にするのは、星の平均だけではなくなった。クチコミに書かれた内容や、Googleマップに集まる場所の情報が、AIによる回答や提案の材料にもなっている。
Googleは「無料駐車場はありますか」といった設備の質問の例も挙げている。プロフィールの属性を正確に入れておく意味は大きくなった。こうした機能が順位にどう影響するかを、Googleは明らかにしていない。
順位は「関連性・距離・知名度」で決まる
Googleのヘルプは、ローカル検索結果は主に「関連性」「距離」「知名度」の3つで表示されると説明する。3つを組み合わせて、検索した人に最も合う結果を出す仕組みだ。
関連性は、検索の言葉とビジネスプロフィールがどれだけ合っているかを指す。距離は、検索した人から施設までの距離で、現在地を共有していない場合はGoogleが把握している情報を使う。知名度は、施設がどれだけ広く知られているかを指す。施設にリンクしているサイトの数や、クチコミの数なども手がかりになる。
クチコミについて、Googleの英語の原文は、クチコミが多く評価が高いことは順位の「助けになりうる」と書く。日本語版は「ランキングが高くなります」と言い切っているが、英語の原文はそこまで断定していない。
そのうえでGoogleは、順位を上げる依頼やお金は一切受け付けないと明記している。検索の仕組みの詳細も、公平さを保つために明かしていない。どの施策で順位がどれだけ動くかを示す公式のデータはない。
施設の側から見ると、3つの性質は大きく違う。距離は変えられず、関連性は情報を整えて高め、知名度はクチコミなどの積み重ねで育つ。施設が直接手を打てる範囲を見極めることが、優先順位の決め手になる。
ホテルのプロフィールは4つの出どころから
ホテルのビジネスプロフィールは、施設が書いた情報だけでできていない。Googleのヘルプを読み合わせると、情報の出どころは4つに分けられる(分け方は編集部による)。施設、客、Google、他社の仕組みだ。
施設が書けるのは、名称・住所・設備やサービスの属性・写真、クチコミへの返信などだ。オーナー確認を済ませると、「ホテルの属性」の欄から設備やサービスの情報を編集できる。サステナビリティへの取り組みも載せられる。
客が書くのはクチコミと写真だ。Googleが付けるものには、1〜5つ星の「ホテルクラス」がある。クチコミの評価とは別物で、施設は自分で付けられない。
評価にあたってGoogleは、外部のパートナーの情報や施設からの意見を集める。料金・所在地・部屋の広さ・設備などの属性を調べる、機械学習の推論も使う。Geminiによるクチコミの要約もGoogleが作る。「無料Wi-Fi」などのおすすめポイントも、表示は保証されていない。
他社の仕組みを通じて入るものもある。ホテルのプロフィールに出る料金と予約リンクは、Googleホテル広告と無料の予約リンクから取られる。プロフィールの編集画面で入力するものではない。
ただ、予約システムを使うホテルは、その提供会社を通じてすでにGoogleと連携していることがある。旅行サイトのクチコミが表示されることもある。
営業時間も施設の自由にならない。ホテルは24時間営業として扱われ、営業時間は編集できない。
ホテルが自分で書けるのはプロフィールの一部で、料金やクチコミ、格付けの多くは外から入ってくる。旅行サイトのクチコミに問題があっても、日本のホテルはGoogleで直接報告できず、提供元のサイトに削除を頼むことになる。だからこそ、自分で書ける部分を正確に保つことが大切になる。
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クチコミ集めは法律よりGoogleの規約が厳しい
クチコミを増やしたいときに、施設が守るべきルールは2つある。景品表示法のステルスマーケティング規制と、Googleの規約だ。法律では問題になりにくい行為でも、Googleの規約では禁止のものがある。
まず法律から見る。2023年10月1日から、広告であることを隠した表示は、景品表示法の不当表示になった。根拠は内閣府の告示で、「ステルスマーケティング告示」(ステマ告示)と呼ばれる。規制を受けるのは広告主である事業者で、SNSやレビューへの投稿も対象になる。
消費者庁のQ&Aは、予約サイトの例で判断の目安を示している。Googleマップを直接扱った回答ではない。ただ、事業者が投稿の内容に関わったかで判断する考え方は同じで、Googleマップでも措置命令の例が出ている(次の節)。
利用後に口コミを投稿することを条件に割り引く場合は、通常は告示に違反しないとする。投稿の内容を指示しておらず、割引程度の対価だという理由だ。
一方、評価に「星5」を付けることを条件にすると、事業者が投稿の内容を決めたことになる。事業者の表示だと明らかにしなければ、違反になる。星5ではなく、褒めるコメントを条件にする場合も同じだ。なお、広告だと明示しても、Googleの規約ではこうした対価付きのクチコミは認められない。
Googleの規約は、それより厳しい。クチコミの投稿や変更、否定的なクチコミの削除と引き換えの対価を、Googleは「固く禁じて」いる。割引や無料の商品・サービスも対価に含まれる。星の数を指定するかどうかは関係ない。
このほか、満足した客にだけ選んで投稿を頼むことや、否定的なクチコミを妨げることも禁止だ。その場で書くよう要求したり強要したりすることや、特定の内容を書くよう頼むこともできない。従業員や家族など、利害関係のある人の投稿も認められていない。
| 行為 | Googleの規約 | 景品表示法(ステマ告示) |
|---|---|---|
| 対価なしで、評価の良し悪しを問わず投稿をお願いする | 認められる | 内容に関与しなければ、通常は問題にならない |
| 投稿すれば割引する(内容は指定しない) | 禁止 | 通常は違反にならない(消費者庁Q&A。個別の事情による) |
| 星5や褒めるコメントを条件に割引する | 禁止 | 違反になる(事業者の表示と明示しない場合) |
(注:表の法律欄は、消費者庁のQ&Aと運用基準をもとに大まかに整理したもので、個別の事例の適法性を示すものではない)
法律上は問題になりにくい「投稿すれば割引」も、Googleの規約では禁止だ。Googleが認めるのは、対価を出さず、内容に影響を与えずに、実際に利用した客へ投稿をお願いすることになる。
違反すると措置命令やプロフィールの制限
法律に違反した例は、すでに出ている。消費者庁は2024年6月、東京都内の医療法人に措置命令を出した。インフルエンザの予防接種に来た人に、Googleマップのクチコミで星5か星4を付けるよう求めていた。投稿すれば接種費用を割り引くと伝えていた。
2025年3月にも、東京都内の別の医療法人が措置命令を受けた。矯正歯科の来院者に、星5のみ、または星5と感想の投稿を条件にしていた。5,000円分のギフトカードを渡すか、治療費を5,000円割り引くと伝えていた。
2023年10月から2026年9月までの消費者庁の措置命令を確認した。その範囲で、Googleマップのクチコミを対象にしたのはこの2件だ。宿泊・観光の事業者の例はなかったが、規制は業種を問わない。星の数を条件にした割引は、ホテルや観光施設でも、広告だと明示しなければ違反になる。
Googleの規約に反した場合は、違反したクチコミが削除されるだけでは済まない。一定期間、新しいクチコミを受け付けられなくなったり、既存のクチコミや評価が非公開になったりする。偽のクチコミを削除したという警告が、プロフィールに表示されることもある。
Googleは対策の実績も公表している。2025年には、規約に違反した2億9,200万件以上のクチコミをブロックまたは削除した。1,300万件以上の偽のビジネスプロフィールも削除している。
2026年4月には、新たな仕組みを広げると発表した。スパムと思われるクチコミの急増をシステムが検知した場合に、偽のクチコミを消し、そのプロフィールへの新しい投稿を一時止める。
この図表のデータを見る
| 年 | ブロック・削除された違反クチコミ(Googleの表記) |
|---|---|
| 2023年 | 1億7,000万件超(over 170 million) |
| 2024年 | 2億4,000万件超(more than 240 million) |
| 2025年 | 2億9,200万件以上 |
Googleの発表による。2023年・2024年は英語の公式ブログ(2024年2月13日・2025年4月7日)の表記、2025年はGoogle Japan Blog(2026年4月23日)の表記。2023年はGoogleマップと検索の合計。図は億件単位で表示している。
始め方 オーナー確認から数字での確認まで
ここからは、施設が取り組む順番を見ていく。プロフィールは無料で、小さな宿や観光施設でも費用をかけずに始められる。
限界もある。立地で決まる距離は動かせず、どの施策で順位がどれだけ動くかをGoogleは公表していない。クチコミへの返信も、1件ずつ向き合う手間がかかる。
オーナー確認をする
最初の一歩は、施設の代表者であることをGoogleに示すオーナー確認だ。Googleは、オーナー確認をすると検索結果に表示される可能性が高くなると説明している。すでにGoogleマップに載っている施設は、オーナーの権限をリクエストして管理を引き継ぐ。
情報を正確に埋める
次に、プロフィールの情報をできるだけ多く、正確に入れる。Googleは、住所、祝日などの特別営業時間を含む営業時間、業種、駐車場やWi-Fiの有無などの属性を挙げている。ホテルは営業時間を編集できないので、住所・業種・属性を中心に整え、観光施設は営業時間も確かめる。
情報が正確でないと、関連する言葉で検索されても表示されないことがある。
正式な名称にないキーワードを名称に足すことは、Googleのガイドラインに反する。ガイドラインは、名称に不要な情報を含めるとプロフィールが停止されることがあるとする。カテゴリは、中心の事業を表すものをできるだけ少なく選び、キーワードそのものをカテゴリに使わないよう求めている。
住所を載せる場合は、その場所に施設名を常に掲示しておく必要がある。ホテルの中にある、宿泊しなくても使えるレストランやスパは、別のプロフィールを作れる。ホテルのプロフィールに「レストラン」のカテゴリを足すのではなく、施設ごとに分けて管理する。
写真を足す
写真や動画で、客室や館内、周辺の景色を見せる。Googleも、ローカル検索の順位を改善するヒントのページで、写真や動画の追加を勧めている。施設の今の姿を正しく伝える写真を、自分で用意しておく。
クチコミを頼み、返す
クチコミは、Googleが用意するリンクやQRコードでお願いできる。領収書や感謝のメール、館内の掲示に載せる方法を、Googleは例に挙げている。前の節のとおり、対価は付けず、満足した客だけを選ぶこともせずに頼む。
返信には、オーナー確認が必要だ。返信はGoogleの審査を経て公開され、普通は10分以内だが、最長で30日ほどかかることもある。公開されると投稿者に通知が届き、投稿者はその後もクチコミを書き換えられる。
Googleは、すべてのクチコミに感謝を返す必要はないとしている。否定的なクチコミには、投稿者の個人情報を出さず、記録を確かめるよう勧める。ミスには誠意をもって対応し、必要に応じて謝ったうえで、対応できることとできないことを説明する。返信は速やかに行う。
好意的なクチコミや有用な返信は、施設の注目度を高めるのに役立つとGoogleは説明する。ただし、返信で順位が上がるとは書かれていない。
否定的なクチコミは、気に入らないという理由では消せない。削除の対象になるのは、Googleのポリシーに違反するクチコミだけだ。悪いクチコミは消すより、返信で次の客に向けて事情と改善を示す方が現実的だ。
数字で確かめる
オーナー確認を済ませると、プロフィールの閲覧数や検索に使われた言葉を見られる。ルート検索、通話、ウェブサイトのクリックなどの数もわかる。表示される指標は施設によって異なり、ホテルでは「予約リンクのクリック数」も対象になる。自社の料金を、閲覧した人が見た他のホテルの料金と比べることもできる。
2026年4月からは、メールで知らせる仕組みも順次始まった。プロフィールへの重要な変更が公開される前に、オーナー確認済みでアクティブなオーナーへ届く。不正確な修正の提案に気づきやすくするため、通知を受け取るアドレスは、日常的に見るものにしておくとよい。
ホテルのプロフィールは、施設だけでは完成しない。設備や写真は施設が直せるが、料金と予約リンクはホテル広告と無料の予約リンクの仕組みから入る。旅行サイトのクチコミの削除は提供元に頼むしかなく、1〜5つ星のホテルクラスも施設は付けられない。
ホテルのMEOは、書き足す前に、項目ごとに誰が直せるかを仕分けることから始まる。分け方は、自分で直す項目、予約システムの連携で直す項目、Googleや旅行サイトに頼む項目の3つだ。仕分けができれば、限られた時間を施設にしか直せない項目と、クチコミへの返信に回せる。
予約リンクが出ない、料金がおかしいといった場合も、まず予約システムの提供会社に連携の状況を確かめる、と動き方が決まる。
よくある質問
出典
- Google「Google のローカル検索結果のランキングを改善するヒント」
- Google「ホテルの詳細を管理する」
- Google「禁止および制限されているコンテンツ」
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」
- 消費者庁「医療法人社団スマイルスクエアに対する景品表示法に基づく措置命令について」
- Google「Google マップ上のビジネスを保護するための新たな取り組み」


