体験やアクティビティを予約できるサイトは、国内勢と海外勢を合わせると選択肢が多い。観光庁の検討会は2023年、オンライン予約が進んでいない体験事業者に、大手の予約サイトへの掲載を徹底するよう求めた。では、どのサイトに載せればよいのか。
サイトによって、得意とする市場や客層に違いがある。国内のおでかけ客や宿泊客、アジアからの訪日客、欧米からの訪日客など、届けたい客によって候補が変わる。
本記事では、主要11サイトの客層と集客の入口を整理し、国内サイトから海外の予約サイトへ商品が流れる仕組みと、載せる先の選び方を見る。手数料や掲載料、掲載条件、審査の基準は扱わない。
この記事のポイント
- 得意な市場はサイトごとに違い、国内客、アジアの訪日客、欧米の訪日客で候補が変わる。
- 2026年1〜8月の訪日客の約4分の3は主なアジア11市場から。国内旅行の娯楽などへの支出も2兆円を超える。
- 2026年はアソビューが海外の予約サイトや販売会社4社と提携し、1か所に載せて別の国の客へ届く経路が増えた。
- 載せる先を増やすほど在庫と情報の更新の手間が増える。予約システムで在庫をまとめると手間を抑えやすい。
体験予約サイトと予約システムは別物
体験予約サイトは、体験やアクティビティ、施設の入場券などをネットで予約できるサイトを指す。旅行の予約をネットで扱う会社は、OTA(オンライン旅行会社)と呼ばれる。
国土交通省中部運輸局の手引きは、OTAを3つに分けている。宿泊や航空券から付加サービスまで扱う「オールラウンド型」、付加サービスの予約に特化した「特化型」、民泊や体験、移動手段などを仲介する「シェアリングサービス」だ。本記事で扱う11サイトには、体験に特化したサイトもあれば、宿や航空券と並べて体験を売るサイトもある。
予約サイトとよく混同されるのが予約システムである。同じ手引きは観光コンテンツ販売ツールについて、「予約サイトそのものではなく、予約管理などを行うシステム」と説明する。予約サイトは客を集める場所で、予約システムは在庫と予約を管理する道具である。
手引きは予約システムの機能として、予約管理、決済・精算管理、チャネルマネージャーの3つを挙げる。チャネルマネージャーは、OTAや自社販売など複数の売り先(販売チャネル)の在庫をまとめて管理する機能だ。本記事が主に比べるのは、客を集める側の予約サイトである。
あわせて読む OTAの基本と、手数料の仕組みは別のガイドで扱っている。
なぜ今、載せる先が問われるのか
1つめの変化は、国の後押しだ。観光庁の「観光DX推進のあり方に関する検討会」は、2023年3月に最終取りまとめを出した。オンライン予約が進んでいないアクティビティ事業者や自治体などについて、「予約機能を有する大手OTA 等への情報掲載を徹底する」としている。
観光庁の補助事業「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」は、2026年5〜6月に二次公募を行った。公募要領は、観光コンテンツタリフかOTA向け掲載情報票の作成を補助要件にしている。対象経費には、OTA掲載などの販路開拓と、AI検索を想定した情報発信の改善が入っている。
2つめは、国内の予約サイトが海外と組む動きだ。アソビューは2026年2月から9月にかけて、シンガポールの販売会社2社、韓国の予約サイト、欧州発のGetYourGuideと相次いで提携した。詳しくは後半で見る。
3つめは、AIアシスタントの中から体験を探す入口ができたことだ。Viatorは2026年7月、GoogleのGeminiの会話の中で42万5,000件超の体験を探して比べ、予約の段階でViatorに移れるようにしたと発表した。
GetYourGuideも2026年9月、Gemini、ChatGPT、Claudeの中で体験を探して予約できるようにしたと発表した。どちらの発表も、日本語でどこまで使えるかは明らかにしていない。
GetYourGuideとArivalが2026年4月に公表した旅行者調査では、旅行の計画や予約にAIを使ったことがある人は69%いた。一方、体験の予約にAIを使ったことがある人は17%だった。
検索からの集客も変わりつつある。ベルトラは2026年上期の決算短信で、海外旅行事業について検索エンジンの仕様変更などによるWeb集客環境の変化を挙げた。そのうえで、自社アプリと既存会員への働きかけに力を入れるとしている。どのサイトがどこから客を連れてくるかが、載せる先を選ぶ基準になる。
訪日客の4分の3はアジアから来る
サイトごとに得意な市場が違うことは、行政の資料にも書かれている。中部運輸局の手引きは「OTAにより取り扱っている商品の内容や、得意とする市場(国)が異なります」とし、想定する客に合わせて選ぶよう求める。同局の体験型観光コンテンツ造成マニュアル(第2版)は、最低限「アジア向けなのか欧米豪向けなのか」を選ぶことが重要だと書いていた。
では訪日客はどこから来ているか。日本政府観光局(JNTO)の推計値によると、2026年1〜8月の訪日外客数は2,762万6,300人だった。
韓国・中国・台湾・香港の4市場で63.5%、東南アジア6か国とインドで12.3%を占める。主なアジア11市場を足すだけで、訪日客の約4分の3になる。欧米豪の8市場は17.4%だった(いずれも編集部算出)。
この図表のデータを見る
| 地域 | 訪日外客数(人) | 構成比(%) |
|---|---|---|
| 韓国・中国・台湾・香港 | 17,545,200 | 63.5 |
| 東南アジア6か国・インド | 3,405,700 | 12.3 |
| 欧米豪8市場 | 4,799,000 | 17.4 |
| その他 | 1,876,400 | 6.8 |
| 合計 | 27,626,300 | 100.0 |
日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」の2026年1〜8月累計(推計値)から編集部が合算。東南アジア6か国はタイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア・フィリピン・ベトナム、欧米豪8市場は豪州・米国・カナダ・英国・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン。構成比と「その他」の人数は編集部が算出した。
アジアの中身は動いている。2026年8月の中国からの訪日客は41万8,000人で、前年同月より59.0%減った。1〜8月の累計でも56.7%減である。
一方で、国内の客も大きい。観光庁の旅行・観光消費動向調査によると、2025年の日本人の国内旅行で使われた「娯楽等サービス費・その他」は2兆303億円だった。宿泊旅行が1兆3,871億円、日帰り旅行が6,432億円である。
訪日外国人の「娯楽等サービス費」は、同年のインバウンド消費動向調査で4,236億円だった。2つの調査は費目の定義が同じではないため、比べられるのは桁の大きさまでだ。それでも国内旅行の支出は2兆円を超える。訪日客だけでなく、国内客に届く販路も検討の対象になる。
各社の説明と行政資料をもとに整理すると、11サイトのうち9サイトは次の5つに分けられる。
あわせて読む 体験・アクティビティの市場全体の姿は、観光体験の全体像のガイドで扱っている。
観光体験「コト消費」の全体像 訪日4,236億円が映す「使い道」の変化
国内市場に基盤を持つ4サイト
アソビュー!
アソビュー!は、自らを「日本最大級の遊び予約サービス」と説明する。扱うのは遊園地やテーマパーク、水族館、温泉・サウナ、アウトドア、文化体験、イベントなどだ。同社の発表によると、2026年9月時点で約620ジャンル・1万3,000施設・2万7,000プラン以上を掲載する。
同社の発表では、会員は2025年11月時点で1,800万人以上いる。運営するアソビュー株式会社は2011年設立で、レジャー施設向けのシステム「ウラカタ」シリーズも手がける。ウラカタは全国約4,000施設に導入されているという。
じゃらん遊び・体験予約
じゃらん遊び・体験予約は、リクルートが2015年7月に始めたサービスだ。同社は「国内最大級の体験予約サービス」と説明する。同社の発表によると、2025年3月時点で1万7,912施設・4万8,872プランを扱う。旅行先での遊びの検討に加え、週末のお出かけ先の検討にも使われているという。
得意なのは、スカイスポーツやマリンスポーツ、雪遊び、川遊び、動物とのふれあい、果物狩り、ものづくりなどの現地体験だ。事業者向けの案内では、旅行サイト「じゃらんnet」の宿予約者向けのメールなどで露出し、現地体験の需要を取り込むと説明している。じゃらんの強みは、宿を予約した人に体験を見せられる点にある。ポイントも使える。
アクティビティジャパン
アクティビティジャパンは、台湾発の予約サイトKKdayのグループ会社が運営する。同社の事業者向けの案内によると、2026年2月時点で登録事業者は8,000社以上、掲載プランは2万以上ある。
日本語のほか、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、タイ語で予約できる。事業者向けの案内では、インバウンド専門のグループ会社や提携会社の販売網も使えるとしている。ただし、この販売は訪日客を受け入れられる事業者に限る。国内客と訪日客の両方に届く設計である。
楽天トラベル 観光体験
楽天トラベル 観光体験は、テーマパークのチケットやイベント、アクティビティ、現地ツアー、レストランなどを国内外の旅行者に提供する。楽天会員は楽天ポイントをためたり使ったりできる。
楽天は2020年7月、主に訪日客向けに日本の体験を販売していたVoyaginを吸収合併し、日本に住む国内旅行者向けにも本格的に提供を始めた。サイトは日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)で使える。
4つのサイトの規模を数字で比べることはできない。数える単位が「施設」「事業者」「プラン」と違い、時点もそろっていないからだ。
ベルトラの主な客は日本人旅行者
ベルトラは、日本人の海外旅行を主な市場とする予約サイトだ。2026年3月の成長戦略資料によると、会員数は285万人、商品は2万2,000件ある。うち日本語ガイドのツアーは3,000件で、150か国を扱い、ツアーを催行する会社は9,000社に上る。
同じ資料は、OTA事業の狙う市場を「日本人海外旅行」「日本人国内旅行」「米国在住者のハワイ旅行」の3つとしている。訪日客は、別の観光IT事業が担う。
国内旅行も伸びている。2026年12月期第2四半期の決算短信によると、南西諸島や沖縄、北海道などの自然・リゾート系エリアが堅調で、国内旅行事業全体として前年同期を大きく上回った。ただしOTA事業の数字には日本人の海外旅行が含まれるため、国内の体験の実績としては読めない。
アジア発の3サイト
Klook
Klookは香港発の予約サイトだ。2025年11月に米国証券取引委員会(SEC)へ提出した上場申請書類(F-1)によると、2025年9月末時点で約4,200の目的地で約31万件を扱う。14言語・40通貨に対応する。SECへの提出書類を見る限り、2026年10月時点ではまだ上場していない。
Klookの取扱額の82.5%は、日本を含むアジア太平洋の利用者によるものだ(2025年1〜9月)。取扱額は、サイト上で予約された金額の合計を指す(定義は各社で異なる)。同じ書類は日本を、インドと並んで利用者を広げる余地の大きい市場に挙げている。
KKday
KKdayは台湾発の予約サイトだ。2026年4月にJR東日本と業務提携した際の発表では、自社の強みを「台湾を中心としたアジア市場をはじめ、欧米豪を含むグローバルな販売ネットワーク」と説明している。
2024年12月の発表では、クールジャパン機構などから約7,000万ドルを調達し、日本の拠点の人員は100名を超えた。日本で扱う商品は1万件を超える。事業者向けの予約管理システム「rezio」も手がけ、当時で国内の1,000以上の観光事業者に導入されていた。
Trip.com
Trip.comは、Trip.com Groupが運営する旅行サイトだ。グループの年次報告書によると、Trip.comは27言語に対応し、グループ全体で2025年末時点で世界の現地アクティビティを35万件超扱う。この数字はCtripなどを含むグループ全体のもので、日本の体験に絞った数字は開示されていない。
欧米発の2サイトとAirbnb体験
GetYourGuide
GetYourGuideは、欧州から事業を始めた予約サイトだ。2026年1月に同社が公表したCEOのメッセージによると、2025年の取扱額は40億ユーロ超、予約は3,300万件超だった。5万の事業者が、1万8,000の目的地で20万件超の体験を提供している。
中部運輸局の手引きは、欧州の利用者が多いサイトとして紹介している。
同社の発表によると、2026年上期には予約が1,800万件を超え、取扱額は前年比27%増えた。北米の取扱額は34%増と、伸びが大きい。
Viator
Viatorは、米国のトリップアドバイザーのグループが運営する。親会社の年次報告書によると、ViatorとTripadvisorで予約できる体験は42万5,000件超、提供する事業者は7万に上る。Viatorのプラットフォーム経由の2025年の予約件数は約2,290万件だった。
同じ報告書は優先課題として、北米以外、とくに欧州からの客を増やすことを挙げている。中部運輸局の手引きも、北米とオーストラリアの利用者が中心のサイトとして紹介している。
Airbnb体験
Airbnb体験は、Airbnbのサイトの中で体験を売る仕組みだ。Airbnbは2025年5月に体験を刷新し、世界650以上の都市で展開すると発表した。専門性や評判、真正性に注目した品質チェックを行う。
同社の2026年4〜6月期の株主向け資料によると、体験の供給は前年同期より約80%増えた。件数や取扱額は開示していない。
11サイトを客層と入口で比べる
各社の資料から、主な客層と集客の入口、海外への販路をまとめた。規模の数字は単位も時点もそろわないため、表には入れていない。
| サイト | 運営・発祥 | 主な客層(各社の説明・行政資料) | 集客の入口 | 海外への販路・連携 |
|---|---|---|---|---|
| アソビュー! | アソビュー(日本) | 国内のおでかけ客 | 会員1,800万人以上 | 海外の予約サイト・販売会社4社と連携 |
| じゃらん遊び・体験予約 | リクルート(日本) | 国内の旅行者、週末のおでかけ客 | 宿予約者向けのメールなど、ポイント | 確認できない |
| アクティビティジャパン | KKdayグループ | 国内客と訪日客 | 6言語での予約 | グループ会社・提携会社の販売網 |
| 楽天トラベル 観光体験 | 楽天グループ(日本) | 国内外の旅行者 | 楽天ポイント | 確認できない |
| ベルトラ | ベルトラ(日本) | 日本人の海外・国内旅行 | 会員285万人 | 訪日向けは別事業のB2B |
| Klook | 香港発 | 日本を含むアジア太平洋(取扱額の8割超) | 14言語・40通貨 | 確認できない |
| KKday | 台湾発 | アジア中心、欧米豪も | 台湾を中心としたアジアの販売網 | アクティビティジャパンがグループ会社、予約管理システムrezio |
| Trip.com | Trip.com Group | 確認できない | 27言語 | 確認できない |
| GetYourGuide | 欧州発 | 欧州の利用者が多い(行政資料) | AIアシスタント内での予約 | 国内サイトから商品を受ける |
| Viator | 米トリップアドバイザー | 北米・豪州が中心(行政資料) | Geminiの会話内で探せる | 確認できない |
| Airbnb体験 | Airbnb | 確認できない | Airbnbのサイト内 | ― |
表で「確認できない」とした欄は、一次資料で裏づけを取れなかったものだ。日本でどのサイトが最も使われているかを示す中立の公的統計もない。各社が示す「最大級」などの表現は、いずれも自社の説明である。
国内サイトから海外の予約サイトへ
卸とは、自社に載せた商品を他社にも売ってもらうことを指す。予約システムや企業間取引の仕組みを通じた卸は、これまでもあった。2026年に目立つのは、国内のおでかけ客向けのサイトだったアソビューが、海外の予約サイトや販売会社と相次いで組んだことだ。1か所に載せた商品が、提携を通じて別の国の客に届く経路が増えている。
アソビューは2026年9月、GetYourGuideとの連携を発表した。文化施設を中心とした体験・レジャー商品を、欧米豪をはじめとする訪日客へ販売する。
発表によると、施設はウラカタで商品を管理したまま、GetYourGuide経由の予約を受けられる。複数の売り先の在庫を一元管理し、ダブルブッキングを防ぎやすくするという。
アジアに向けても提携が続いた。同社は2026年2月にシンガポールのGlobalTix、8月に韓国の予約サイトMyrealtripとシンガポールのBeMyGuestとの連携を発表している。
GlobalTixとBeMyGuestは、世界の旅行会社などに商品を卸す側の会社だ。BeMyGuestとの連携は、東南アジアやインドなどに向けたものだという。
アソビュー以外にも、海外へ届ける経路は以前からある。アクティビティジャパンはKKdayのグループ会社で、インバウンド専門のグループ会社や提携会社の販売網を使える。
ベルトラの「LINKTIVITY」は、日本の交通機関や観光施設と世界の旅行会社を結ぶ企業間取引(B2B)の仕組みだ。同社の資料によると、2025年12月期に商品を出す事業者710社、販売する会社492社が使っていた。
予約システムの側から海外へ届く道もある。予約システムBókunは2018年にトリップアドバイザーに買収され、いまは独立して運営されている。同社は、70以上の海外OTAを含む2,600以上の販売先につながると説明する。日本向けには「JTB BÓKUN」がある。KKdayのrezioも、チャネルマネージャーの機能を持つ。
ただし、どのサイトや予約システムとつながれるかは各社のサービスで異なる。中部運輸局の手引きも、連携できるOTAは各社のサービスによって違うと注意している。
OTAに向く商品、向かない商品
客層と並んで見るべきは、商品の性質だ。中部運輸局の手引きは「短時間で低価格の体験型コンテンツは、OTAを通じた個人旅行者向けの販売が効果的である可能性が高い」と書く。一方、高価格で長期滞在を伴うコンテンツは、専門の旅行会社を通じた販売が向いている可能性があるとする。
OTAに向く商品として手引きが挙げるのは、開催日時が決まっていて在庫として管理しやすいもの、予約後に申込者との確認やアレンジが要らないもの、実施の直前まで販売できるものだ。在庫として管理しやすい商品は、予約サイトでの販売に向く。
反対に、催行日や参加人数が限られる商品は、大手旅行会社やOTAでは扱えないことがあり、自社での販売が向いているという。京都市観光協会のハンドブックも、ターゲットに届けるルートがなければOTAや旅行会社と組み、自社である程度売れるルートがあれば自社で直接売るという判断の流れを示している。
載せる先を増やすほど手間も増える
載せる先を増やせば、届く客層は広がりうる。ただし観光庁の検討会の最終取りまとめは、掲載するサイトが増えるほど更新作業の負担も増え、それが活用を妨げていると指摘する。
同じ取りまとめは、販売チャネルを増やせば収益拡大につながる一方、在庫管理の負担が課題となり、取り組みが進んでいないとも書く。一部の地域では、複数のOTAに登録するためのデータ変換ツールを整えて負担を減らしているという。
ここで効くのが予約システムだ。中部運輸局の手引きは2025年3月時点の例として、JTB BÓKUN、Rezio、ウラカタ予約、Linktivityなど8つを挙げる。OTA連携の有無はツールごとに違う。予約システムでOTAとつなげば、複数のサイトの在庫を1か所で管理できる。
サイトに頼りきることの弱点もある。観光庁の検討会の最終取りまとめは、OTAなどで予約した旅行者に対し、次からは地域の予約サイトを使うよう現地で働きかけることが必要だとする。中部運輸局の手引きも自社販売の利点として、客と直接やりとりでき、顧客データを自分で持てる点を挙げる。
一方で手引きは、最初から海外の旅行者に自社サイトを見てもらうのはハードルが高いとも書く。予約サイトは新しい客と出会う場で、自社の販売はその客をつなぎ止める場だ。
あわせて読む 体験の予約がどれだけ予約サイトを通っているのか、予約サイトに載らない客がどこにいるのかは、別の記事で数字とともに整理している。
観光庁が掲載を促して3年 体験事業者はなぜOTAに載らないのか
載せる先を決める4つの手順
ここまでの整理を、載せる先を決める手順にまとめる。
1. 自社の客がどこにいるかを見る
まず、いま来ている客と、これから来てほしい客を分ける。国内のおでかけ客が中心なら国内サイト、宿泊旅行者に届けたいなら宿の予約と結びついたサイトが候補になる。アジアの訪日客ならKlookやKKday、欧米の訪日客ならGetYourGuideやViatorなどが候補になる。実際に載せる前に、各社の客層と自社の商品の相性を確かめたい。
2. 商品がOTAに向くかを確かめる
開催日時が決まっていて、予約後の調整が要らない商品は予約サイトに向く。日程や人数が限られる商品は自社販売、高価格で長期滞在を伴う商品は専門の旅行会社を通じた販売も考える。
3. 直接か卸かを決める
海外のサイトに直接載せる以外に、国内サイトや予約システムの提携を通じて届ける道がある。言語対応や問い合わせへの対応を自社で抱えられるかも、判断の材料になる。
4. 在庫を1か所で管理する
載せる先を増やすなら、予約システムで在庫をまとめて管理すると手間を抑えやすい。どのサイトとつながれるかは予約システムごとに違うため、載せたいサイトとの連携を先に確かめる。
旅行体験の調査会社Arivalによると、世界の体験事業者の70%超は小規模・零細事業者だ。人手が限られる事業者なら、まず自社の客がいるサイトから始め、掲載先を増やすときに在庫の管理を整える順番が考えられる。
あわせて読む 地域の体験を商品として組み立てる考え方は、着地型観光のガイドで扱っている。
着地型観光とは 事例・メリット・事業化の進め方
体験予約サイトを選ぶとき、会員数や掲載数の大きさだけでは比べにくい。数える単位も時点もばらばらだからだ。見るべきは客の出どころで、たとえばKlookの取扱額の8割超は日本を含むアジア太平洋の利用者による。
そのうえで、2026年は選び方の前提が変わり始めた。アソビューは海外の予約サイトや販売会社4社と組み、ウラカタで商品を管理する施設が、GetYourGuide経由の予約も受けられるようにした。載せる先は、サイトを1つずつ選ぶより、いまの在庫が予約システムを通じてどの国の客まで届くかで考えるほうが実態に合う。
新しいサイトに個別に登録する前に、自社の予約システムといまの掲載先が、どこにつながっているかを確かめたい。
よくある質問
出典
- 国土交通省中部運輸局「訪日外国人旅行者向け 観光コンテンツ販路構築の手引き」
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」
- 観光庁「旅行・観光消費動向調査」
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年暦年の調査結果(確報)の概要」
- 「Form F-1 Registration Statement」(Klook Technology Limited)
- 「Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025」(Tripadvisor, Inc.)




