中国以外の国・地域の増加が、中国の減少を上回った
2026年7〜9月期の訪日外国人旅行消費額は、前年同期比3.2%増の2兆2,076億円と推計された。観光庁が10月21日に公表した1次速報によると、訪日外国人数は全体で4.8%減の964.5万人だった。
内訳では、クルーズ客が56.2%減の22.0万人だった。クルーズ客を除く一般客も2.1%減の942.5万人で、全体の大半を占めた。観光庁は今期のクルーズ客の消費額について、調査対象便数を十分に確保できていないため、参考値として扱っている。
一般客の1人当たり旅行支出は6.1%増の23万3,677円となり、消費額は3.9%増の2兆2,023億円だった。客数は減った一方、1人当たりの支出は増えた。
中国の消費額は3,583億円となり、前年同期の5,950億円から39.8%減少した。一方、中国以外の国・地域は1兆5,434億円から1兆8,493億円に増えた(観光庁の公表値から編集部算出)。減少額は中国が約2,370億円、中国以外の増加は約3,060億円だった。
台湾が首位、中国の構成比は低下
国・地域別の消費額で首位に立ったのは、台湾の3,818億円(構成比17.3%)だ。2位は中国3,583億円(16.2%)、3位は韓国2,938億円(13.3%)。続いて米国2,409億円(10.9%)、香港1,555億円(7.0%)の順だった。
前年同期は、中国が5,950億円で首位だった。今期は台湾が上回り、中国は2位に下がった。中国の構成比は、前年同期の27.8%から16.2%へ11.6ポイント下がった。
4〜6月期は米国が首位で、台湾は2位だった。今期は台湾が首位に変わった。中国を除く上位4市場では、台湾が26.2%増、韓国が45.8%増、香港が37.1%増、米国が9.1%増となり、いずれも前年を上回った。
この図表のデータを見る
| 国・地域 | 旅行消費額(億円) | 構成比 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 台湾 | 3,818 | 17.3% | +26.2% |
| 中国 | 3,583 | 16.2% | −39.8% |
| 韓国 | 2,938 | 13.3% | +45.8% |
| 米国 | 2,409 | 10.9% | +9.1% |
| 香港 | 1,555 | 7.0% | +37.1% |
上位5市場。出典:観光庁 2026年7-9月期(1次速報)。
あわせて読む 前四半期(4〜6月期)の動きは、こちらで詳しく解説している。
訪日消費4〜6月は微増2.5兆円 客数減を単価が支え、首位は米国へ
韓国は客数増、中国はほぼ半減
上位5市場で消費額の伸び率が最も大きかったのは韓国だ。消費額は前年同期比45.8%増の2,938億円だった。一般客の客数は28.7%増の257.6万人で、1人当たり旅行支出も13.4%増の11万3,959円に上った。
一方、中国では一般客の客数が49.8%減の121.1万人と、ほぼ半分になった。ただし、1人当たり旅行支出は22.1%増の29万4,560円だった。
1人当たり支出は韓国が11.4万円、中国が29.5万円で、韓国は中国の4割弱だ。平均泊数は中国が12.8泊で、韓国(4.1泊)の約3倍だった。
この図表のデータを見る
| 国・地域 | 1人当たり旅行支出(円) | 平均泊数 |
|---|---|---|
| 米国 | 344,121 | 13.1泊 |
| 中国 | 294,560 | 12.8泊 |
| 香港 | 235,609 | 6.6泊 |
| 台湾 | 199,028 | 7.0泊 |
| 韓国 | 113,959 | 4.1泊 |
| 一般客平均(全国籍・地域) | 233,677 | 10.3泊 |
一般客・全目的。出典:観光庁 2026年7-9月期(1次速報)図表4・図表5。
日本政府観光局(JNTO)の公表値では、9月の韓国は25.6%増の84万2,300人と、9月として過去最高だった。中国は44.5%減の43万800人だった。JNTOは中国について、昨年11月以降、中国政府から日本への渡航を避けるよう注意喚起が複数回あったと説明している。
訪日外客数の全体は、7月が0.2%増の344万2,310人で前年同月を上回った。一方、8月は9.6%減の309万8,900人、9月は5.0%減の310万3,700人で、2か月続けて前年を下回った。
JNTOは9月に多くの市場が前年同月を下回った理由として、中東情勢による航空券価格の上昇や航空便の減便、台風による欠航などを挙げている。9月は中国の減少(約34.5万人減)が全体の減少(約16.4万人減)より大きく、中国以外は約18万人増えた(JNTOの公表値から編集部算出)。
総額の増加分の大半は買物代だった
費目別では、宿泊費が7,778億円(構成比35.2%)で最も多かった。次いで買物代が6,109億円(27.7%)、飲食費が5,058億円(22.9%)だった。観光庁によると、前年同期に比べて交通費と買物代の構成比が増えた。
前年同期の費目別金額と比べると(編集部算出)、買物代は11.0%増、宿泊費は0.2%減、娯楽等サービス費は10.8%減だった。総額の増加分692億円のうち、買物代が606億円を占める。
訪日外国人の客数は減ったが、1人当たりの支出は増えた。中国以外の国・地域で増えた消費額が中国の減少分を上回り、消費総額は前年を超えた。
あわせて読む 1〜6月(上半期)の費目別の動きは、こちらで詳しく解説している。
訪日消費4兆8,469億円で横ばい 減少したのは買物代
総額は増加したものの、増加分の大半を占めたのは買物代だった。宿泊費は前年並みで、娯楽等サービス費は減少している(編集部算出)。
客数が減るなかで消費総額が増えたのは、買物代が大きく伸びたためだ。宿泊や体験の費目は伸びておらず、総額の増加が各分野の売上増を意味するわけではない。訪日消費の総額に加え、費目別の動きを見て、自社の事業への影響を測る必要がある。
出典
- 観光庁「インバウンド消費動向調査 2026年7-9月期(1次速報)報道発表資料」
- 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年9月推計値)」
- 観光庁「インバウンド消費動向調査2026年4-6月期(1次速報)の結果について」


