観光業界に入ったばかりの人や業界外の読者に向けて、DMOの仕組みを解説する。DMOとは、観光地域づくり法人の略称で、地域の観光を戦略に基づいて進める司令塔の役割を担う法人だ。DMOは、地域の観光を、戦略・体制・財源を備えて経営する法人として位置づけられている。
観光庁に登録されたDMOは、2026年9月1日現在で320法人ある。一方、登録DMOの約6割は観光協会を前身とし(2025年6月現在)、国・自治体からの補助金・交付金・負担金が収入金額の56%を占めた(2021年10月集計)。
DMOがどんな役割を担い、どう運営されているのか。観光庁の資料をもとに、定義、登録制度、財源、国内の事例を紹介する。
この記事のポイント
- DMOは、戦略づくり、合意形成、財源確保を担う観光地域づくりの司令塔だ。
- 登録DMOは2026年9月1日現在で320法人。広域連携・都道府県・地域の3区分がある。
- 2021年10月集計では、登録DMO170団体の収入金額の56%が国・自治体の補助金・交付金・負担金だった。
- 先駆的DMOは世界的なDMOのモデルを目指す候補。選定は成功の表彰ではない。
- 国内の事例として、阿寒の財源、倶知安の宿泊税、せとうちの広域連携を取り上げる。
DMOとは観光地経営の司令塔
DMOは、Destination Management/Marketing Organizationの略だ。日本では「観光地域づくり法人」と訳される。観光庁の資料は、DMOを地域経営の視点で観光地域づくりを進める「司令塔」と位置づけている。
地域の「稼ぐ力」を引き出し、地域への誇りと愛着を育てることも役割だ。多様な関係者と協働し、明確なコンセプトに基づく戦略をつくって着実に進める法人とされる。
登録制度のガイドラインは、DMOの使命を「持続可能な観光地域づくりの実現」としている。地域自らがありたい姿を描き、住民の生活の質の向上も目指す。環境面だけでなく、経済面・社会面でも持続可能性を追求する考え方だ。
ガイドラインでは、DMOの基礎的な役割を5つに分けている。
- 各種データを継続して集めて分析し、観光地経営戦略をつくって進捗を管理する
- 着地整備(観光資源の磨き上げや受入環境の整備)など、戦略に基づく取組を進め、関係者の観光関連事業との整合を調整する
- 多様な関係者と体制をつくり、合意形成を図る
- 上の3つに必要な組織を確立し、強化する
- 上の3つに必要な財源を確保する
ガイドラインは、観光資源の磨き上げ、二次交通を含む交通アクセス、多言語対応やガイド人材といった受入環境(着地整備)が不十分なまま、情報発信やプロモーションに偏るDMOが見受けられると指摘している。
地域での役割分担も踏まえ、「まずは着地整備の取組を優先的かつ着実に推進することが重要」と明記した。ガイドラインが求めるのは、着地整備が不十分なまま、プロモーションに偏らないことだ。
なお、略称の「M」はManagementとMarketingの両方で読まれてきた。2025年6月の有識者の意見集約(観光庁掲載)は、MarketingはManagementの一部だとする。両方を並べる表記が、マーケティングに偏った取組を助長しているとも考えられるという。
意見集約は「DMO(Destination Management Organization)に改める時期にきているのではないか」と述べた。ただし、これは有識者会議の意見であり、観光庁が名称を変更したわけではない。
観光協会との違いは役割と要件
DMOの話では、観光協会との関係がよく問われる。観光庁の有識者意見集約(2025年6月20日付)によると、2025年6月現在、登録DMOの約6割は観光協会を前身としている。
観光協会は、地方自治体の観光施策を民間側で担う組織として生まれた。会員向けのデータ提供、イベント運営、物販、指定管理(自治体の施設の運営を任される仕組み)、観光案内所の運営などを担ってきた。こうした実績や会員とのつながりは、DMOの運営でも土台になる。
ただし、意見集約は課題も指摘している。観光協会を母体とするDMOの中には、両者の役割の違いを認識していても、DMOに求められる役割を十分に果たしていない場合があるという。
両者を組織の名前だけで区別するのは難しい。違いを知る手がかりになるのが、DMOの登録要件だ。
DMOには、観光地経営戦略とKPIの設定、PDCA(計画・実行・評価・改善の循環)の確立が求められる。関係者との合意形成の仕組みや財源計画も必要だ。マーケティングと財務の責任者も、それぞれ配置しなければならない。
人材の確保にも課題がある。意見集約は、観光協会を母体とするDMOでは、公的機関の出向者やOBが経営の職責を担うケースもあると指摘する。そのうえで、必要に応じて外部人材を登用するよう促している。
ガイドラインも、出向者の割合が多い組織では知見を蓄積しにくいと指摘する。自前で雇う職員(プロパー職員)の確保・育成と、外部専門人材の登用の両方を求めている。
DMOに期待される地方誘客の役割
DMOには、地方への観光客の誘致でも役割が期待されている。ガイドラインは冒頭で、「地方創生」を最重要課題の一つに挙げる。観光が地方創生の切り札とされる中で、DMOへの期待が大きいと説明している。
政府は2030年の目標として、インバウンド6,000万人、旅行消費額15兆円を掲げる。ガイドラインは、目標を持続可能な形で達成するには、地方への誘客と旅行消費の拡大が必要だとする。同時に、オーバーツーリズムの未然防止・抑制にも取り組むとしている。
2026年3月27日に閣議決定された第5次観光立国推進基本計画も、DMOに関する方針を示した。質の高いDMOの形成・確立を図り、更新時(3年ごと)には組織体制や取組状況を検証する。
支援の対象には、人材の育成・確保も含まれる。宿泊税、入域料等を財源とした安定的な運営資金の確保に向けた取組も支援する。優良モデルとなるDMOには集中的に支援し、その取組を他のDMOにも広げる方針だ。
あわせて読む 地方創生の政策全体のなかでDMOがどこに位置するかは、地方創生とDMOの全体像のガイドで整理している。
地方創生・DMOとは 観光で地域が稼ぐ仕組みの全体像
登録DMOの5条件と更新の仕組み
観光庁は、登録要件をすべて満たす法人を「登録DMO」として登録している。登録の有効期間は3年間だ。期間中に更新登録を申請しなかった法人は、登録が取り消される。
制度のガイドラインは2015年11月に制定された。2026年7月24日の一部改正は同年8月1日に施行された(更新登録の要件のみ2027年4月1日施行)。
登録要件は、次の5つの観点で構成される。
- 観光地経営戦略の策定、指標の設定、各種データ等の収集・分析
- 戦略に基づく取組の具体化・実施・検証・改善(PDCAの確立)
- 多様な関係者との体制構築と合意形成
- 組織の確立と強化
- 安定的な財源の確保
組織については、具体的な条件がある。法人格を持ち、登録申請の時点で12か月(原則1事業年度)以上の活動実績が必要だ。意思決定機関と最終責任者も明確にしなければならない。
人員では、マーケティングを統括するCMOと財務を統括するCFOを、それぞれ1名以上置く(専従は要しない)。3名以上の常勤職員も必要だ。
職員満足度のKPIを設けることも要件に含まれる。法人の主たる事務所は、マネジメントする区域の中に置く必要がある。
合意形成と数値目標に必要なもの
DMOの登録要件には、地域の関係者と話し合う仕組みも含まれる。少なくとも「地域が『売り』とする観光資源の関係者」「宿泊事業者」「交通事業者」「行政」の4者が参画しなければならない。
協議の内容を公表することも条件だ。登録申請には、区域内の地方自治体の代表者名による合意書を添える。
登録後も、少なくとも年1回の自己点検が必要になる。年度報告も求められ、提出は原則、事業年度終了後4か月以内とされる。
数値目標にも決まりがある。戦略のKGI(最終目標)には「旅行消費額」の設定が必須だ。
KPI(進み具合を測る指標)では、1人当たり旅行消費額、延べ宿泊者数、来訪者満足度、住民満足度の4つが必須となる。2027年4月からの更新登録では、KGIに経済波及効果も必須で加わる。
あわせて読む 2026年7月のガイドライン改正でKPIの示し方などがどう見直されたかは、別の記事で扱っている。
DMO登録制度のガイドライン一部改正が8月から施行
広域連携・都道府県・地域の3区分
登録DMOには、対象とする地域の広さに応じて3つの区分がある。
広域連携DMOは地方ブロック単位、都道府県DMOは単一の都道府県全域、地域DMOは単一または複数の市区町村にまたがる観光地域を対象にする。
現在の区分名になったのは、2025年10月1日施行の改正からだ。それ以前は「広域連携・地域連携・地域」という区分だった。
役割も区分ごとに異なる。ガイドラインによると、地域DMOは着地整備の取組の調整等を担う。広域連携DMOと都道府県DMOは、各地域の着地整備の成果を集約する役割がある。
さらに、広域的な連結性を持つ戦略づくりや、マーケティング、コンテンツ開発を働きかける。
ガイドラインは、地域DMOが個別に海外向けのプロモーションを行うと、訴求力や効率に課題が出る場合があると指摘する。広域連携DMOとの連携や役割分担が重要だという。
広域連携DMOには、広域データの収集分析や域内DMOの人材育成も求められる。都道府県DMOには、データの分析、人材育成、旅行商品の流通支援、近隣都道府県との連携といった役割がある。
| 広域連携 DMO | 都道府県 DMO | 地域 DMO | |
|---|---|---|---|
| 対象と する範囲 | 地方ブロック単位の 観光地域 | 単一の都道府県 全域 | 単一市区町村の全域、 または複数市区町村に またがる地域 |
| 着地整備 との関係 | 各地域の成果を集約し、 広域の戦略・ マーケティングを 働きかける | 各地域の成果を集約し、 広域の戦略・ マーケティングを 働きかける | 着地整備の取組の 調整などを担う |
| 追加で 課される 役割 | 広域データの分析、 域内DMOの人材育成、 旅行商品の流通支援、 JNTOと連携した プロモーションなど | データの分析、 人材育成、 旅行商品の流通支援、 近隣都道府県との連携など | ― |
登録DMOは、2026年9月1日現在で計320法人ある。内訳は広域連携10、都道府県38、地域274だ。
区分別の合計は322になるが、北海道と沖縄県は広域連携DMOと都道府県DMOを兼ねている。そのため、兼務の2を除いた320法人が実数となる。
観光庁の登録一覧ページによると、このほかに登録の候補にあたる「候補DMO」が21法人ある。いずれも地域DMOの区分だ。
4月1日現在の登録数は、広域連携10、都道府県38、地域280だった。兼務を除くと326法人で、5か月で6法人減ったことになる。減少はすべて地域DMOの区分で起きた(候補DMOも24から21へ減った)。
| 4月1日 現在 | 9月1日 現在 | 増減 | |
|---|---|---|---|
| 広域連携 | 10 | 10 | 0 |
| 都道府県 | 38 | 38 | 0 |
| 地域 | 280 | 274 | ▲6 |
| 北海道・ 沖縄県の 兼務 | ▲2 | ▲2 | 0 |
| 登録DMO の合計 | 326 | 320 | ▲6 |
| 候補DMO | 24 | 21 | ▲3 |
登録DMOの収入、補助金等が56%
DMOの運営資金は、どこから来るのか。観光庁の「DMO自主財源開発手法ガイドブック」(2022年3月)に、登録DMOの収入内訳が掲載されている。
2021年10月集計時点で、回答した登録DMO170団体の収入は、内訳を合計すると約468億円だった。
そのうち国・地方公共団体からの補助金・交付金・負担金が261億円で、合計の56%を占める。
次に多いのは、地方公共団体からの指定管理・受託事業収入で82億円(17%)だ。収益事業が69億円(15%)、その他が37億円(8%)と続く。会費・寄附は15億円(3%)、特定財源は4億円(1%)だった。
この図表のデータを見る
| 収入の区分 | 金額(億円) | 構成比(%) |
|---|---|---|
| 国・地方公共団体からの補助金・交付金・負担金 | 261 | 56 |
| 地方公共団体からの指定管理・受託事業収入 | 82 | 17 |
| 収益事業 | 69 | 15 |
| その他 | 37 | 8 |
| 会費・寄附 | 15 | 3 |
| 特定財源 | 4 | 1 |
| 合計 | 約468 | 100 |
観光庁「DMOの現状調査」(2021年10月集計時点)の回答170団体の収入内訳(ガイドブックの公表値)を合算した値。構成比は金額の合計に対する比率で、団体ごとの比率の平均ではない。金額と構成比はガイドブックの公表値で、四捨五入のため構成比が金額の割合と一致しない項目がある。規模の大きなDMOの金額に引っ張られる合計値であり、典型的なDMOの姿とは限らない。
ただし、56%という数字には注意が必要だ。これは各団体の収入比率を平均したものではなく、170団体の収入金額を合計した場合の構成比である。
規模の大きなDMOの金額に左右されるため、典型的なDMOの収入構成を示すとは限らない。ガイドブックも、財源の規模にはばらつきが大きく、単純な平均では傾向をつかみにくいと説明する。
集計が2021年のものである点にも注意が要る。本稿では、これより新しい収入内訳の公表を確認できていない。
同じ時期の観光庁のアンケート(回答184)では、DMOの活動予算に「現在満足」と答えたのは約45%だった。そのうち、5年先の見通しもあるとした団体は全体の1割未満にとどまる。「不満足」は約55%だった。
財源開発計画を策定していないDMOも約7割にのぼる。有識者の意見集約は、観光庁の調査で回答した305のDMOのうち、84%が財源を課題に挙げたことも紹介している。
あわせて読む DMOが旅行商品を自ら売る場合の収益の構造と、旅行業の登録区分は、着地型観光のガイドで整理している。
着地型観光とは 事例・メリット・事業化の進め方
安定財源は収入の種類だけで決まらない
登録DMOには、安定した財源を確保することが求められる。ガイドラインは登録要件の5つ目に財源を挙げ、財源計画の策定と「安定財源確保率」のKPI設定を求めている。
ガイドラインが挙げる理由は、国や地方自治体の予算が基本的に単年度主義であることだ。継続的な財政支援を前提にした財源調達には限界があり、補助金や調査費等の公的資金への過度な依存は望ましくないとしている。
安定財源確保率とは、全収入に占める安定財源による収入の割合だ。ガイドラインは、次の収入を安定財源の例としている。
- 特定財源(宿泊税・入湯税等の地方税を元手にした自治体からの支出、受益者分担金・負担金など)
- 自治体からの受託事業の収益(指定管理、ふるさと納税関連業務など)
- 会費収入
- DMOの裁量で使える、または戦略期間を通じて行政からの支出が見込まれる交付金・負担金
- 物販・旅行商品などの事業収益
ここで、補助金のすべてが安定財源になるわけではない。一方、「補助金以外が安定財源」とも言い切れない。
例示に共通するのは、継続して収入を見込めるか、DMOが使い道を決められるかという考え方だ。
宿泊税はDMOに直接入らない
DMOの財源として挙げられる宿泊税にも、資金の流れを理解するうえで注意が必要だ。ガイドラインは、特定財源の例の筆頭に宿泊税を挙げている。
ただし、宿泊税がDMOの口座に直接入るわけではない。徴収された税は、いったん地方税として自治体の収入になる。DMOには、自治体からの支出(補助金や委託費など)として入る。
有識者の意見集約は、受益者負担の原則のもとで、DMOが使い道を決めることが望ましいとしている。ただし、これは有識者の意見であり、制度として定められているわけではない。
DMOが事業収益を増やす場合についても、意見集約は3点の注意を促している。
まず、自主事業が他の民間事業者の自由な競争を妨げていないか。次に、会費収入が特定の会員だけに有用な情報提供になっていないか。
指定管理やふるさと納税の事務を担うことで人手を割かれ、本来のDMOの機能に手が回らなくならないかという点も挙げている。
あわせて読む 宿泊税を導入している自治体の一覧と税率は、宿泊税の全国まとめで確認できる。
宿泊税が全国に拡大 京都は上限1万円、東京は定率制へ、北海道は道税を新設
国の支援策と先駆的DMOの位置づけ
登録DMOが利用できる国の支援策もある。2026年度に始まった観光庁の「DMO総合支援事業」(観光振興事業費補助金)がその一つだ。
このうち「DMOの体制整備・機能強化事業」は、登録DMOを補助対象の事業者としている。地方公共団体も、宿泊税等の合意形成に向けた勉強会を登録DMOと共同で行う場合は対象になる。
2026年度の補助率・上限額は、外部専門人材の登用が定額で上限1,500万円だ。安定的な財源と人材育成の計画づくりは定額で上限1,000万円、宿泊税等の合意形成に向けた勉強会は定額で上限200万円とされた。
ただし、補助の要件は年度ごとに決まる。登録すれば必ず補助金を受けられるわけではない。
国の支援には、もう一つ「先駆的DMO」の選定がある。観光庁が、観光立国推進基本計画で掲げる「世界的なDMO」のモデル形成を目指し、候補となる法人を戦略的に支援する事業だ。
2024年度(令和6年度)末までに4法人が選ばれた。2025年度(令和7年度)には、新たに7法人が選ばれている(2025年10月16日付)。
選ばれたのは、せとうち観光推進機構、秩父地域おもてなし観光公社、倶知安観光協会、箱根町観光協会、飛騨・高山観光コンベンション協会、キタ・マネジメント、長崎国際観光コンベンション協会だ。
ここで注意したいのは、選定が完成形の認定ではないことだ。選定結果の資料は「選定時点において不十分と評価した項目を中心に今後伴走支援を行い、課題の改善・解決を図ってまいります」と説明している。
伴走支援とは、国が継続して寄り添う支援のことだ。先駆的DMOは、モデルを目指す候補として国の支援を受ける法人であり、成功の表彰ではない。
支援で得られた知見は、改善事例・優良事例として他のDMOにも展開される。
国内の事例から見る3つの財源・連携
国内のDMOには、財源の確保や地域連携で異なる仕組みを使う例がある。ここでは、阿寒、倶知安、せとうちの3つを取り上げる。
成功と失敗を比べるのではなく、何を、どの仕組みで、いつの時点で行っているかを紹介する。内容は、観光庁の資料や公式ページで確認できる範囲に限る。
法人全体の収支と、個別の施策の効果は別の数字だ。そのため、施策の収益や経済効果の金額は掲載しない。
阿寒 入湯税と指定管理
NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構は、北海道釧路市の地域DMOだ。2005年に設立された。
観光庁のガイドブックによると、釧路市は市税条例の特例として入湯税の超過課税を導入した。期間は2015年4月1日から2025年3月31日までの10年間だ。
標準税率の150円を250円に引き上げ、上乗せした100円を観光の財源にする仕組みだった。ガイドブックでは、全国で初めての入湯税の超過課税と紹介されている。
市からDMOへは、超過課税を元手にした基金からの補助金として支出される。
このほか、DMOは国設阿寒湖畔スキー場とネイチャーハウスの指定管理も担っていた。その収入は、DMO全体の収入の約2割だった(2021年3月度)。
この事例では、地方税を元手にした財源と、受託事業の収入を組み合わせていた。
ただし、以上はガイドブック掲載時点の内容だ。超過課税の期限は2025年3月31日で、2025年4月以降の扱いは本稿では確認できていない。参考にする場合は、釧路市の条例で現行の内容を確かめる必要がある。
倶知安 定率制の宿泊税
北海道倶知安町は、2019年11月に宿泊税を導入した。観光庁のガイドブックによると、全国で初めて定率制を採り、当初の税率は2%だった。
倶知安観光協会は、2025年度(令和7年度)の先駆的DMOにも選ばれている。
町の公式ページによると、2026年4月1日以降の宿泊分から税率は3%になった。同年3月31日までの宿泊分は2%だった。
同年4月から、北海道が段階的な定額制の宿泊税を始めた。町は定率制を維持するため、2025年6月に条例を改正している。
町税と道税を合わせた「町道宿泊税」は、宿泊料金の3%だ。この3%から北海道宿泊税を除いた残りが、町の税収になる。
町から倶知安観光協会へは、地域DMO支援事業の補助金が支出されている。ガイドブックによると、2021年度の財源は宿泊税と一般財源だった。
ここで、町の税収と協会が受け取る補助金、協会の事業規模は別の数字だ。足し合わせたり、税収をそのまま協会の収入と考えたりすることはできない。
せとうち 7県の広域連携
せとうち観光推進機構は、兵庫・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛の7県を対象にする広域連携DMOだ。
機構の公式サイトによると、前身は2013年4月に7県で発足した瀬戸内ブランド推進連合だ。2016年3月に現在の一般社団法人へ発展改組した。
2017年11月に日本版DMOとして登録され、2024年2月に更新登録された。2025年度(令和7年度)の先駆的DMOにも選ばれている。
特徴は、役割を2つの法人で分担していることだ。公式サイトによると、せとうちDMOは、せとうち観光推進機構と株式会社瀬戸内ブランドコーポレーションで構成される。
機構はマーケティングとプロモーションを担う。一方、株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション(2016年4月設立)は、「せとうち観光活性化ファンド」を使い、観光商品(プロダクト)の開発を支援する。
県境をまたぐ7県を一つの観光地として扱い、情報発信と事業づくりを分担する広域連携の形だ。
登録DMOは、3年ごとの更新で組織体制や取組状況を検証される。登録要件には、地域の関係者と協議した内容を公表することも含まれている。2027年4月からの更新登録では、要件の一部が変わる。
地域のDMOを知る手がかりは、観光客数より先に、公表された協議の内容にある。
地域の事業者や自治体は、まず自地域のDMOが協議の内容をどこで公表しているかを確かめるとよい。
よくある質問
出典
- 観光庁「登録DMO一覧 計320法人(令和8年9月1日現在)」
- 観光庁「登録DMOについて(令和8年4月1日現在・トピックス)」
- 観光庁「観光地域づくり法人の登録・更新登録等に関するガイドライン(令和8年7月24日改正)」
- 観光庁「観光地域づくり法人(DMO)における自主財源開発手法ガイドブック」
- 観光庁「観光地域づくり法人(DMO)に関する有識者からの意見集約」
- 観光庁「DMO総合支援事業」
- 観光庁「令和7年度「先駆的DMO」選定結果のお知らせ」
- 倶知安町「倶知安町の宿泊税について」
- せとうち観光推進機構「せとうちDMO」


